2025年6月17日

大雨警報発令中の避難行動〜避難所への移動vs自宅での垂直避難の判断基準〜

大雨の特別警報がテレビで流れている…。

「警戒レベル4、危険な場所から全員避難してください!」

そう言われても、外はすでに暴風雨。

「今、子どもを連れて避難所へ向かうのはかえって危険なのでは?」

と、玄関先で立ち往生してしまった…。
皆さんも、そんな経験はありませんか?

私たちは普段、鉄道や工場といったプロの現場で使われる、特殊なはしごや安全機材を作っている会社です。
「身の安全を守る」という基本は、災害時も同じ。

この記事では、大雨の際に「避難所へ移動する」べきか、「自宅で垂直避難する」べきか、その判断基準を安全機材の専門家ならではの視点も交えながら、わかりやすく解説していきます。

【ポイント1】まず確認!「警戒レベル」と「避難」の本当の意味

警戒レベルごとの意味と取るべき行動

大雨の際に発表される「警戒レベル」は、私たちが取るべき行動を教えてくれる大切な情報です。
特に覚えておきたいのが、2021年から変更になった点。

警戒レベル4について、以前は「避難勧告」と「避難指示」があって少し分かりにくかったのですが、今は「警戒レベル4:避難指示」に一本化されました。
これはつまり、「レベル4が出たら、危険な場所にいる人は全員避難してください」という、明確な合図なんです。

警戒レベル3(高齢者等避難)

避難に時間がかかるお年寄りや体の不自由な方、小さなお子さんがいるご家庭は、この段階で避難を開始します。

警戒レベル4(避難指示)

危険なエリアにいる対象者全員が避難する段階です。
絶対に「まだ大丈夫だろう」と自己判断してはいけません。

警戒レベル5(緊急安全確保)

すでに災害が発生しているか、いつ発生してもおかしくない最も危険な状況です。
このレベルになってしまったら、命を守るための最善の行動をとる必要があります。

参考資料: 5段階の警戒レベルについて(PDF形式)

「避難」=「避難所へ行くだけ」ではないことを知る

「避難」と聞くと、多くの人が公民館や学校といった「避難所」へ行くことをイメージするかもしれませんね。
でも、実は避難の方法はそれだけではないんです。

  • 縁故避難:安全な場所に住んでいる親戚や友人の家へ移動すること。
  • 垂直避難:自宅や近くの頑丈な建物の、より高い階へ移動すること。

このように、安全な場所に身を置くことが「避難」の本質です。
選択肢を知っておくだけで、いざという時の心の余裕が大きく変わってきますよ。

【ポイント2】あなたの「場所」と「建物」は安全か?判断基準をチェック

避難の判断で最も重要なのが、「今いる場所が本当に安全か?」を客観的に知ることです。
そのために欠かせないのが「ハザードマップ」と「建物の構造」のチェックです。

判断基準①:ハザードマップで「場所」の危険度を知る

ハザードマップは、お住まいの地域が災害時にどのような危険にさらされる可能性があるかを示した地図です。
市役所のウェブサイトや、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で簡単に確認できます。

特に確認してほしいのは、以下の2点です。

1. 洪水浸水想定区域

川が氾濫した場合に、どれくらいの深さまで浸水する可能性があるかを示しています。
「自分の家は最大で2階まで浸水する可能性があるのか」などを事前に把握できます。

2. 家屋倒壊等氾濫想定区域

これは特に注意が必要なエリアです。
川の水の勢いで堤防が削られたり、激しい流れで家が直接破壊されたりする危険性がある場所を示しています。

平時に「自分の家は何色のエリアか?」「想定される浸水の深さは何メートルか?」を確認しておくことが、いざという時の命綱になるんです。

判断基準②:建物の構造で「建物」の頑丈さを知る

場所の危険度とあわせて、建物の頑丈さも考えなければなりません。
例えば、木造家屋と鉄筋コンクリート(RC)造のマンションでは、水害への強度が全く異なります。

特に、先ほどお話しした「家屋倒壊等氾濫想定区域」では、水の勢いが凄まじいため、木造家屋は倒壊してしまうリスクがあります。
このエリアにお住まいの場合は、建物の構造に関わらず、原則として立ち退き避難が必要だと考えてください。

【ポイント3】ケース別・最適な避難行動の判断フロー

ここまでのポイントを踏まえて、具体的にどう行動すれば良いのかを整理してみましょう。

「避難所への移動(水平避難)」を最優先すべきケース

以下のケースに当てはまる場合は、警戒レベル4が発令されたら、ためらわずに避難所など安全な場所への移動を開始してください。

  • ハザードマップで「家屋倒壊等氾濫想定区域」に含まれる場合
  • ハザードマップで「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」に含まれる場合
  • 木造・軽量鉄骨造の戸建てにお住まいで、浸水が想定される場合

「自宅での垂直避難」が有効なケース

一方で、無理に外へ出ることがかえって危険な場合もあります。
以下の条件を満たす場合は、「自宅での垂直避難」が有効な選択肢となります。

  • 頑丈な鉄筋コンクリート造のマンションなどにお住まいの場合
  • ハザードマップで想定される浸水深よりも、今いる階が高い場合
  • すでに屋外への移動が危険なほど、風雨が強まったり、道路が冠水したりしている場合
大雨警報時の避難行動判断フロー
大雨警報時の避難行動判断フロー

【コラム】垂直避難とあわせて考えたい「もう一つの出口」の確保

QQラダー

さて、ここまで垂直避難の有効性についてお話ししましたが、私たち安全機材の専門家としては、もう一つ考えていただきたいことがあります。
それは「万が一、建物からの脱出が必要になった場合の備え」です。

例えば、浸水は免れても、近隣で火災が発生したり、建物の一部が損壊して玄関から出られなくなったりする可能性もゼロではありません。
そんな時、命を守る最後の砦となるのが「避難はしご」なんです。

実は、私たち特殊梯子製作所でも、ご家庭向けの避難はしご「QQラダー」を製造・販売しています。
これは国の厳しい安全基準をクリアした国家検定合格品(型式番号「は第24-2号」)で、いざという時に誰でも安全に使えるよう、様々な工夫が凝らされています。

  • コンパクト収納
    • 普段は1mほどの長さに縮めて、クローゼTットなどに収納できます。
  • 揺れにくい構造
    • はしごの横揺れを防ぐ「突子(とっし)」という部品が付いており、お子さんや高齢の方でも安心して降りられるよう設計されています。
  • 簡単な設置
    • 窓枠の幅に合わせてフックを調整でき、特別な工事なしで設置可能です。

垂直避難を選択する場合でも、こうした「もう一つの出口」を確保しておくことで、心の余裕は格段に変わってきます。
「我が家の窓にも設置できるかな?」といったご相談も承っていますので、お気軽にお声がけくださいね。

QQラダー避難はしごのご紹介ページはこちら

よくある質問(FAQ)

Q: 警戒レベル4が出ても、避難しないのはダメですか?

A: 危険な場所にいる場合は、必ず避難が必要です。
ただし、避難とは安全な場所に身を置くことであり、必ずしも避難所に行くことではありません。
ハザードマップで安全が確認でき、頑丈なマンションの上階などにお住まいの場合は、「在宅避難(垂直避難)」も有効な選択肢です。

Q: マンションなら何階にいても安全ですか?

A: 安全とは限りません。
まずハザードマップでご自身のマンションがどのくらいの浸水深を想定されているか確認してください。
その想定される深さより高い階にいることが一つの目安です。
また、高層階でも停電でエレベーターが止まったり、断水したりするリスクがあります。

Q: 車で避難しても良いですか?

A: 原則として車での避難は推奨されません。
道路の冠水や渋滞で立ち往生する危険性が非常に高いからです。
特に、エンジンが水に浸かると停止してしまうアンダーパスは絶対に避けるべきです。

Q: 夜中に警報が出た場合はどうすれば良いですか?

A: 夜間の避難は、視界が悪く、昼間より格段に危険が高まります。
可能な限り、明るいうちに避難を終えるのが理想です。
すでに屋外の移動が危険な場合は、無理に避難所へ向かわず、自宅の2階など、少しでも安全な場所で朝を待つ「垂直避難」も重要な選択肢です。

まとめ

今回は、大雨警報が出た際の避難行動について、特に「避難所への移動」と「自宅での垂直避難」の判断基準を解説しました。

ポイントは以下の3つです。

  1. 警戒レベルを正しく理解し、「レベル4」が出たら必ず行動すること。
  2. ハザードマップや建物の構造から、今いる場所の安全性を評価すること。
  3. ご自身の状況に合った最適な避難行動(水平避難 or 垂直避難)を選択すること。

私たち特殊梯子製作所は、”コンパクトに運び、現場で安全に伸ばす”というコンセプトで、日夜製品開発に取り組んでいます。
それは、災害時も同じ。
いざという時に、皆さんが安全に、そして確実に命を守る行動がとれるよう、これからも専門家の視点から情報を発信し、信頼できる製品をお届けしていきたいと思っています。

この記事が、皆さんの「次のステップ」、つまり平時の備えを見直すきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
まずはご自宅のハザードマップを確認することから始めてみませんか?

あなたの「こんな梯子があったらいいな」を、カタチにします!

みなさん、お読みいただきありがとうございます!
私たち特殊梯子製作所は、みなさんの「あったらいいな」を形にする、梯子のスペシャリスト集団です。

🔧 こんなお悩み、ありませんか?

  • 既製品の梯子では作業がやりにくい
  • 特殊な場所での作業に適した梯子が見つからない
  • より安全で使いやすい梯子が欲しい

そんなお悩み、私たちにお任せください!
1996年の創業以来、官公庁や大手企業様向けに数々の特殊梯子を製作してきた実績があります。

特殊梯子製作所ができること

  • オーダーメイドの梯子製作
  • アルミ、ステンレス、鉄など多様な素材対応
  • 安全性と作業効率を両立した設計

あなたのアイデアや要望をお聞かせください。私たちの技術と創意工夫で、最適な梯子をカタチにします!

📞 まずはお気軽にご相談ください

TEL: 078-652-0818

🌟 特殊梯子製作所 公式サイト

あなたの作業を、もっと安全に、もっと快適に。
特殊梯子製作所は、みなさんの「あったらいいな」を応援します!

このコラムの監修者

寺本 隆

寺本 隆( 業界歴:40年 )

長年、建築や造園業の現場で特殊なはしごを開発し続けてきた当社は、「どんな要望にも応えたい」という強い信念のもと、持ち運びやすく緊急時に展開できる伸縮はしごを実現しました。例えば鉄道での迅速な避難に貢献し、多くの官公庁や大手企業で採用されています。お客様からの多様な要望に応え、業界で類を見ない製品を生み出してきた私たちは、“考えることをやめなければ不可能はない”と信じ、今後も唯一無二のはしごを創り続けることを使命としています。

トップへ戻る ▲