2025年5月27日
災害弱者を守る:福祉施設・病院のための避難はしご導入ポイント

皆さんも経験があるかもしれませんが、福祉施設や病院での避難訓練って、本当に大変ですよね。
車椅子の方、寝たきりの方、認知症の方…さまざまな状況の利用者さんを、いかに安全に避難させるか。
これは施設運営における最重要課題の一つです。
特に避難器具の選定は、法令遵守だけでなく、実際に使える・使いやすいものを選ぶ必要があります。
今回は、福祉施設・病院に特化した避難はしごの導入ポイントを、現場目線でわかりやすく解説していきます。

福祉施設・病院における避難器具の法的要件
消防法による設置基準の基本
福祉施設(老人ホーム等)や病院は、消防法施行令別表第1の(6)項に該当します。
収容人員20人以上で避難器具の設置義務が発生しますが、ここがポイント!
一般のビルとは異なる特別な配慮が必要なんです。
実は、福祉施設や病院には特有の制約があります。
つまり、利用者さんの身体状況を考慮した基準が設けられているということです。
これらの施設では、以下のような要件を満たす必要があります。
- 収容人員20人以上で設置義務発生(下階に特定用途がある場合は10人以上)
- 設置個数は100人までは1個、100人を超えるごとに1個追加
- 主要構造部が耐火構造で避難階段が2つ以上ある場合は緩和措置あり
3階以上の階における制限事項
なぜ3階以上に避難はしごが設置できないのか?
これは利用者の安全を最優先に考えた規定です。
高齢者や身体が不自由な方にとって、高所からのはしご避難は現実的ではありません。
【重要】福祉施設・病院の避難器具制限
- 3階以上:避難はしごの設置不可
- 6階以上:救助袋も設置不可
- 代替手段:緩降機や避難橋の検討が必要
この制限は、災害弱者の安全を守るための重要な規定なんですよ。
施設の階層構成を踏まえた避難計画の策定が、何より大切というわけです。
一動作式避難器具の必要性
特定一階段防火対象物などでは、一動作式の避難器具が求められます。
つまり、複雑な操作なしに素早く使用できる器具です。
緊急時に慌てている職員でも確実に操作できることが大切。
一動作式とは、文字通り「一つの動作」で使用可能になる器具のこと。
例えば、レバーを引くだけ、ボタンを押すだけといった簡単な操作で展開できるものです。
これなら、パニック状態でも確実に使用できるんです。
災害弱者(要配慮者)への配慮事項
避難行動要支援者の特性理解
高齢者、障害者、車椅子利用者など、それぞれの特性を理解することが第一歩。
令和3年の災害対策基本法改正で個別避難計画の作成が努力義務化されました。
単に避難器具を設置するだけでなく、誰がどのように支援するかまで考える必要があります。
避難行動要支援者とは、以下のような方々を指します。
- 要介護認定3~5を受けている方
- 身体障害者手帳1・2級を所持する方
- 療育手帳Aを所持する方
- 精神障害者保健福祉手帳1級を所持する方
- その他、自力避難が困難な方
これらの方々一人ひとりに合わせた避難支援が必要というわけです。
身体状況に応じた避難方法の選択
歩行可能な方、車椅子の方、寝たきりの方…それぞれに適した避難方法があります。
例えば、車椅子利用者の垂直避難には特別な配慮が必要。
階段昇降機や専用の搬送器具の活用も含めて、複数の避難手段を準備することの重要性は計り知れません。
身体状況別の避難方法例
対象者 | 推奨される避難方法 | 必要な支援 |
---|---|---|
自力歩行可能 | 避難階段、避難はしご | 誘導・声かけ |
杖・歩行器使用 | 避難階段(ゆっくり) | 付き添い・荷物運搬 |
車椅子使用 | エレベーター、スロープ | 複数人での介助 |
寝たきり | 担架、ストレッチャー | 3~4人での搬送 |
職員の介助負担を軽減する工夫
災害時、限られた職員で多くの利用者を避難させる必要があります。
職員の身体的負担を軽減しながら、安全に避難誘導できる器具選びのポイント。
操作が簡単で、少人数でも対応できる避難器具の特徴を押さえることが大切なんです。
例えば、以下のような工夫が効果的です。
- 軽量で持ち運びやすい器具の選定
- ワンタッチで展開できる機構
- 複数人が同時に使用できる設計
- 職員の腰に負担をかけない高さ調整機能
これらの配慮により、職員も利用者も安全に避難できるというわけです。
避難はしご選定の具体的ポイント
設置場所と降下空間の確保
避難はしごを設置する際は、十分な降下空間の確保が必須。
開口部の大きさ、周囲の障害物、降着面までの距離など、具体的な数値を確認しましょう。
特に福祉施設では、車椅子や歩行器の通行スペースも考慮する必要があります。
必要な空間の目安は以下の通りです。
- 開口部:幅60cm以上、高さ80cm以上
- 降下空間:壁から60cm以上離す
- 降着面:平坦で滑りにくい場所
- 周囲:半径2m以内に障害物なし
これらの条件を満たすことで、安全な避難が可能になります。
操作性と安全性のバランス
緊急時でも確実に使える操作性と、利用者の安全性のバランスが重要。
例えば、収納式の避難はしごは場所を取らない反面、展開に時間がかかることも。
施設の特性に応じた最適な選択が求められます。
操作性と安全性のチェックポイント:
- 展開時間は30秒以内か
- 高齢者でも握りやすい手すりか
- 足場の間隔は適切か(25~30cm程度)
- 揺れやたわみを抑える構造か
- 夜間でも視認しやすいか
これらを総合的に判断することが大切というわけです。
日常点検とメンテナンスの重要性
せっかく導入した避難器具も、いざという時に使えなければ意味がありません。
法定点検はもちろん、日常的な目視点検のポイント、職員への操作訓練の実施方法など、導入後の維持管理が重要。
点検スケジュール例
- 日常点検(毎月):外観確認、固定部の緩み確認
- 機器点検(6ヶ月):専門業者による詳細点検
- 総合点検(1年):実際に展開して動作確認
- 職員訓練(3ヶ月):操作手順の確認と習熟
継続的な管理こそが、安全を守る鍵なんです。
実績ある避難器具メーカーの選び方
特殊梯子製作所の福祉施設向けソリューション
ここで当社、特殊梯子製作所のご紹介をさせていただきます。
実は私たちの「QQラダー」は、国家検定合格品として多くの福祉施設や病院に採用されているんです。
揺れ・よれ・たわみを抑える突子付き構造で、高齢者の方でも安心して使用できる設計になっています。
QQラダーは機能性と使いやすさを両立しています。
何より、1台からのオーダーメイド対応で、各施設の特殊なニーズにもお応えできるのが強みです。
QQラダーの特徴:
- 独自のアルミパイプ構造で揺れを最小限に
- 収納時は1/4サイズでコンパクト
- 老若男女問わず使える安全設計
- 国家検定合格の確かな品質
導入実績と信頼性の確認
避難器具選びでは、メーカーの実績と信頼性が重要。
国家検定合格品であることはもちろん、実際の福祉施設・病院での導入実績、アフターサービス体制などを確認しましょう。
長期的な視点でのパートナー選びが大切です。
信頼できるメーカーの見極めポイント:
- 国家検定合格品の製造実績
- 福祉施設・病院への納入実績
- 定期点検・メンテナンス体制
- 緊急時の対応体制
- カスタマイズ対応の可否
これらを総合的に評価することで、最適なパートナーが見つかるはずです。
導入までの具体的ステップ
現場調査から設置計画まで
まずは現場の詳細な調査から。
建物の構造、利用者の状況、職員体制などを総合的に検討します。
消防署との事前協議も重要なステップ。
導入ステップチェックリスト
🔲 建物の階数・構造の確認
🔲 収容人員の把握
🔲 利用者の身体状況調査
🔲 既存避難経路の確認
🔲 設置可能場所の選定
🔲 消防署への事前相談
🔲 予算の確保
🔲 職員への説明会実施
補助金・助成金の活用方法
避難器具の導入には費用がかかりますが、各種補助金・助成金を活用できる場合があります。
申請のタイミングや必要書類など、実務的な情報を押さえておきましょう。
活用可能な主な補助制度:
- 社会福祉施設整備費補助金
- 介護施設等整備事業補助金
- 各都道府県独自の助成制度
- 市町村の防災対策補助金
これらを上手に活用すれば、導入費用の負担を軽減できます。
職員研修と避難訓練の実施
導入後最も重要なのが、職員への研修と定期的な避難訓練です。
単に操作方法を覚えるだけでなく、様々なシナリオを想定した実践的な訓練が必要。
利用者参加型の訓練方法についても考えていきましょう。
効果的な訓練プログラム:
- 基礎研修(全職員対象):器具の構造と操作方法
- 実技訓練(月1回):実際の展開と収納練習
- シナリオ訓練(3ヶ月に1回):様々な状況を想定
- 総合訓練(年2回):利用者も参加する大規模訓練
継続的な訓練により、いざという時の対応力が身につくというわけです。
まとめ
福祉施設・病院における避難器具の導入は、単なる法令遵守だけでなく、利用者の命を守る重要な取り組みです。
3階以上には避難はしごが設置できないなど、特有の制約がある中で、いかに実効性のある避難計画を立てるか。
そのカギは、施設の特性と利用者の状況を正確に把握し、最適な避難器具を選定することにあります。
私たち特殊梯子製作所も、皆様の安全・安心に貢献できるよう、これからも製品開発と技術サポートに努めてまいります。
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