2025年3月8日
【安全対策◎】縄梯子の作り方で失敗しない材料選びと設置方法

「非常用の縄はしごを自作したいけど、材料や結び方を間違えると危ないって聞くし…」と不安を感じていませんか。
実際、ロープやステップの選び方を誤ると破断や転落につながるため、細部まで丁寧に押さえる必要があります。
そこで今回は、初心者でも失敗しない縄梯子のDIYポイントを分かりやすく解説します。
屋根裏やロフトの昇降、アウトドアや災害時の緊急脱出など、いざという時に役立つ知識をぜひ身につけてください。
参考情報として海上保安庁の縄梯子(なわばしご)の作り方のPDFファイルもご覧になってください。
縄梯子を自作するメリットと注意点
縄梯子が役立つシーン
縄梯子(ロープはしご)は、ロープを左右に垂らし、足を乗せる桟(ステップ)や大きな輪っかを連ねて作る簡易的なはしごです。
市販の避難用はしごは価格が高く、実際そう頻繁に使うものではないため、DIYで安く作りたいという需要が高まっています。
- 緊急避難:地震や火災時など、2〜3階からの脱出用
- 屋内のロフトや屋根裏への昇降:固定のはしごを設置するスペースが無い場合の代替
- アウトドアや災害対策:キャンプ、山小屋、あるいは倒木・がけ崩れ現場などの高低差を移動するとき
- 費用削減・自由なカスタマイズ:ステップの数やロープの長さを好みに合わせられる
とはいえ「自分の体重を支えるもの」なので、安全面での配慮をおろそかにすると非常に危険です。
安全面でのリスクと対策
結び目が緩んでステップが外れる、ロープが切れる、固定具が外れる…。
こうしたトラブルは、すべて命に直結する事故につながりかねません。
あらかじめ下記の対策を講じておくことが必須です。
- 信頼できる素材(伸びやすさ、耐候性、破断強度)を選ぶ
- 結び方は荷重がかかると締まるタイプを採用し、しっかり締め込む
- 設置先の手すりや梁などの強度もチェックし、金具を確実に固定
- 定期的にロープやステップの劣化状態を点検し、必要に応じて交換
ロープやステップの強度表示を鵜呑みにせず、実際にぶら下がってテストする習慣も大切です。
材料選びのポイント
ロープの種類と耐荷重
縄梯子をつくるうえで、一番重要なのは「どんなロープを使うか」です。
伸縮性や耐候性、破断強度など、それぞれ特徴が異なるため注意しましょう。
- ビニロン(クレモナ)ロープ
- 避難はしごや救命ロープでも使われる代表的素材
- 伸びが少なく耐候性や耐久性も高め
- 12mm径なら破断強度はおおよそ1500kg前後とされるが、実際の使用荷重は安全率を考え1/10程度(100〜200kg)にとどめるのが一般的
- ポリエステルロープ
- 酸や摩耗、紫外線にも比較的強い
- 伸縮が少なく、荷重をかけてもたわみにくい
- 救命・荷役用途でもよく使われる
- ナイロンロープ
- 引張強度が高いが、伸縮性が大きく荷重時にビヨンと伸びやすい
- 強度自体はあるものの、はしご用途だと足場が不安定になりやすい
- 麻縄・綿ロープ
- 天然素材で握りやすいが、カビやすく経年劣化・腐食のリスクあり
- 強度も合成繊維に比べ低め
初心者の方は、ビニロンやポリエステル製の太め(8〜12mm)三つ打ちロープを選ぶと安全性が高いでしょう。
長さは、高さ+結びしろ(結び目で数十cmは消費)+余裕分として余めに用意してください。
ステップ部分の素材と形状
ステップ(足を掛ける桟)には、木材やアルミパイプ、塩ビパイプなどが用いられます。
踏む面が滑りにくく、割れにくい素材が理想です。
- 木材(丸棒・角材)
- 衝撃を吸収しやすく加工性も高い
- 屋外放置するなら防腐・防水処理を検討
- アルミパイプ
- 軽量で腐食に強く、屋外利用に最適
- 表面がツルツルしたものは滑り止め加工が必要
- 樹脂系パイプ(塩ビなど)
- 軽くて扱いやすいが、長期耐久性や強度面を十分確認する
ステップの長さは30〜40cm程度が目安。
足幅より少し広めに設定し、ロープとの結びしろも含めてカットすると、登り降りが快適になります。
縄梯子の作り方ステップ解説
必要な道具と事前準備
以下のような道具があれば、初めての方でも作業を進めやすいはずです。
項目 | 具体例・用途 |
---|---|
計測・マーキング | ・メジャー ・マーカー →作りたい梯子の長さやステップ位置を正確に測り、印を付ける |
切断・端末処理 | ・ノコギリ(木材・パイプ用) ・ハサミ、カッター ・ライター(ロープ端の焼き止め) →ロープやステップ素材をカットし、端部を処理する |
保護装備 | ・軍手 ・保護メガネ →作業時のケガ防止に必須 |
固定具や金具 | ・フック ・カラビナ ・アイプレート ・アンカーなど(設置先に合わせて) →ロープを安定して取り付けるための部材 |
あらかじめ、「自作したい縄梯子の全長」「段数」「ステップ間隔」「上端固定方法」をイメージし、必要な長さのロープや本数分のステップを用意してください。
結び方の種類と手順
縄梯子を安定させるには、結び方の選定がとても大切です。
特に、荷重をかけるとロープが締まって外れにくくなる結びを使うと安心。
ここでは代表的な「棒つき縄梯子」の作成手順を例に挙げてみましょう。
- 2本のロープを上部で仮固定
- 例えば屋根裏の梁やベランダ手すりに回して結び、左右平行に垂らす
- 最上段のステップを取り付ける位置に印をつける
- 最上段ステップを結ぶ
- 棒の両端を「クローブヒッチ(二重巻き結び)」などで巻き付け固定
- 端部が抜けないように強く引き絞り、ステップがずれないかテスト
- 下へ向かって順次ステップを追加
- 段間を30〜40cmに設定し、左右で高さがズレないようメジャーで確認
- ロープの「ねじれ」を防ぐため、左右の結び始めをなるべくそろえる
- 結び目は荷重がかかるほど締まる結び方(二重巻き結び、てこ結びなど)を推奨
- 余ったロープの処理
- 最下段まで取り付けたら、余分なロープをカットまたは束ねて結ぶ
- 端部をライターであぶって解け止めし、すべてのステップを強めに引っ張って確認
もしロープだけで輪っかを作って足掛けにする「ノット梯子」を選ぶ場合は、ヒッチ結びを左右から施して輪を固定する方法が一般的です。
段間隔は40〜50cmでもいいですが、伸びるロープだと感覚が合わなくなるので注意しましょう。
設置と固定の方法
設置場所による固定具の選び方
せっかく頑丈に作っても、固定先が弱いと縄梯子の役目を果たせません。
取り付け場所や目的に応じて、以下のような固定方法を検討してください。
- フック型金具やカラビナ
- 窓枠・手すり・梁などに一時的に掛ける場合に便利
- 必ず強度表示を確認し、自身の体重+αを支えられるものを選択
- アンカー・アイプレート
- 壁面や天井に穴を開けて、アンカーボルトで金具を固定する本格的方法
- 屋根裏や倉庫など、恒久的に設置したいときに有効
- 二重巻き結びで直接巻く
- 梁や柱がしっかりしていれば、フック無しでロープを二周させて結ぶだけでもOK
- 結び目が緩まないよう、実際に荷重を掛けてテストする
固定先の強度も要確認です。
アルミの手すりだと、設置位置によってはぐらつく場合があります。
さらに、屋外・屋内問わず「ロープの上端が外れる」「梁ごと壊れる」といったリスクを想定し、念には念を入れて調べておきましょう。
安定性と安全対策のポイント
縄梯子は構造上、壁に密着しないと大きく揺れやすい弱点があります。
急に体が振られると危険なので、以下のような対策を取りましょう。
- 下端固定:地上側や床側でロープを結び、余計な揺れを抑える
- 一度に一人ずつ:複数人の同時使用は厳禁
- 使用前の点検:結び目が緩んでいないか、ロープにほつれや裂け目がないか定期チェック
- 慣れ:できれば低い位置で試登りする。本番時のパニックを避けるため
また、ポリエステルやビニロン製のロープでも、紫外線や湿気で徐々に劣化します。
年に1回程度はロープを全面的に確認し、怪しいところがあれば早めに交換しましょう。
まとめ
縄梯子は、ロープや結び方をしっかり選定すれば、DIYでも十分安全かつ便利に使えるアイテムです。
避難用や高所作業のサブ装備として1本備えておくと、いざというときに大きな安心感につながります。
最後に要点を振り返ってみましょう。
- 強度重視のロープ選び:ビニロン(クレモナ)やポリエステルの三つ打ちロープ(8〜12mm程度)がおすすめ
- ステップ素材の検討:木材、アルミ、樹脂など。屋外なら腐食や滑り対策が必須
- 結び方と作業工程:荷重がかかるほど締まる結び(クローブヒッチ、二重巻き結び等)を採用
- 設置の固定具:フックやカラビナ、アンカーなど、使う場所に適した方式を選択
- 安全対策:下端固定、使用前点検、1人ずつ乗る、定期メンテナンス
特に、ロープの破断強度の「1/10程度を実用荷重と考える」という安全率の考え方や、伸びの少ない素材を使うという点は重要です。
ぜひ本記事のポイントを踏まえながらDIYに挑戦してみてください。
正しい情報と確実な準備があれば、難しい技術や特殊工具がなくても、十分安全な縄梯子を自作できますよ。
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