2025年12月14日
【2025年12月12日完全施行】改正建設業法で何が変わる?事業者が今すぐ対応すべき労務・安全管理
「うちの会社、このままで大丈夫だろうか?」
2025年12月12日から完全施行される改正建設業法。
働き方改革や賃上げが求められる中、特に中小企業の経営者や現場責任者の皆様は、具体的な対応に頭を悩ませていらっしゃるかもしれませんね。
今回の法改正は、単に規制が厳しくなるだけではありません。
実は、現場の安全性を高め、働く人たちの環境を改善し、ひいては会社の技術力をアピールする絶好のチャンスなんです。
この記事では、特に「労務管理」と「安全管理」という、現場の根幹に関わる2つのテーマに絞り、皆さんが今すぐ取り組むべきポイントを、現場目線で分かりやすく解説していきます。
【この記事の結論】2025年12月12日施行「改正建設業法」3つの対策
- 【見積書】 「標準労務費」に基づき、労務費・材料費・経費の内訳を明記する(原価割れ契約は禁止)。
- 【工期】 「著しく短い工期」での契約は、発注者だけでなく受注者も違法となるため、適正な工期で合意する。
- 【安全管理】 適正利益を確保し、老朽化した機材の更新や安全対策へ投資して生産性を高める。

【ポイント1】「標準労務費」って何?給与は上がる?見積もりの新常識
今回の法改正で、最も注目されているキーワードが「標準労務費」です。
これは、建設業界で働く技能者の賃金を守り、適正な水準に引き上げるための新しいルールです。
「なんだか難しそう…」と感じるかもしれませんが、皆さんの給与や会社の経営に直結する大切な話なんですよ。
そもそも「標準労務費」とは?~あなたの給与明細で考えてみよう~
「標準労務費」とは、簡単に言うと「国が示す、技能者一人ひとりに支払われるべき賃金の目安」のことです。
これまで、特に下請けの現場では、厳しい価格競争のしわ寄せが技能者の賃金に及び、不当に安く抑えられてしまうケースがありました。
そこで、技能者の生活を守り、建設業という仕事に魅力を感じてもらうために、この新しい仕組みが導入されたのです。
標準労務費は「手取り額」ではない
ここで一つ、大切なポイントがあります。
標準労務費は、皆さんが毎月受け取る「手取り給与」そのものではありません。
少し、ご自身の給与明細を思い浮かべてみてください。
基本給や各種手当から、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料といった社会保険料(法定福利費)が引かれていますよね。
標準労務費は、この社会保険料の会社負担分なども含んだ「会社が従業員一人を雇用するために必要な人件費一式」のようなイメージです。
つまり、単なる日当ではなく、技能者が安心して働くために必要な経費がすべて含まれた金額、と考えると分かりやすいかもしれません。
この標準労務費は、国土交通省が毎年公表する「公共工事設計労務単価」というものをベースに、実際の作業に必要な時間(歩掛かり)などを考慮して計算されます。
見積書がこう変わる!「労務費の内訳」明記はなぜ重要?
今回の法改正で、事業者の皆さんに求められる具体的な変化の一つが「見積書」の書き方です。
これからは、見積書に「労務費」「材料費」「その他経費」の内訳を明記することが努力義務となります。
「今までもやっていたよ」という会社もあるかもしれませんが、これがなぜ重要なのでしょうか。
「どんぶり勘定」からの脱却
これまで、工事全体の費用を「一式」として提示する、いわゆる「どんぶり勘定」の見積書も少なくありませんでした。
しかし、これでは発注者から値引き交渉をされた際に、どこを削るかというと、どうしても人件費、つまり労務費にしわ寄せが行きがちでした。
これからは、見積書に「この工事には、これだけの技能者の労務費が必要です」と内訳をはっきり示すことで、不当な値下げ要求を防ぐことができます。
「労務費の見える化」によって、技能者の皆さんに適正な賃金が支払われるようにする仕組みなんですよ。
これは、元請けだけでなく、二次、三次の下請け契約にも適用される大切なルールです。
自社の見積もりを見直すだけでなく、取引先にもこの新しいルールを周知し、理解を求めることが重要になります。
中小企業は要チェック!「原価割れ契約」が受注者にも禁止に
今回の改正で、中小企業の経営者にとって特に知っておいてほしいのが、「原価割れ契約の禁止」が受注者側にも適用されるようになった点です。
これまでは、主に発注者側が優越的な地位を利用して不当に低い価格で契約させることが問題視されていました。
しかし、これからは「仕事が欲しいから」と、赤字覚悟の無理な金額で工事を引き受けることも法律で禁止されるのです。
会社と従業員を守るための盾になる
「そんなことを言っても、元請けからの依頼を断れない…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、このルールは、無理な値引きを受けて会社が疲弊し、結果的に従業員の給与や安全対策費を削らざるを得なくなる、という悪循環を断ち切るためのものです。
もし、標準労務費を大きく下回るような不当に低い金額での契約を求められた場合、これからは「法律で禁止されています」と、明確な根拠を持って交渉することができます。
これは、中小企業が自社を守り、ひいては従業員の皆さんを守るための、非常に強力な盾になるはずです。
【ポイント2】もう無理な納期はNG!「工期ダンピング」禁止で現場はどう変わる?
「この納期じゃ、どう考えたって無理だ…」。
現場で働く誰もが、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
今回の法改正では、この「無理な工期」、いわゆる「工期ダンピング」にも厳しいメスが入りました。
「著しく短い工期」とは?~身近な料理で例えると~
法律で禁止される「著しく短い工期」とは、一体どのようなものでしょうか。
これは、身近な料理で例えると分かりやすいかもしれません。
例えば、じっくり煮込むことで美味しくなるカレーライスを作るのに、「材料を渡すから10分で完成させろ」と言われるようなものです。
どんなに腕の良い料理人でも、煮込む時間がなければ美味しいカレーは作れません。
無理に完成させようとすれば、火加減を間違えて焦がしたり、具材に火が通っていなかったりするでしょう。
建設工事も同じです。
安全に、そして質の高い仕事をするためには、準備期間や各工程、天候による予備日など、絶対に省略できない時間が必要です。
これらの「通常必要な期間」を無視した工期設定が、「著しく短い工期」にあたります。
現場の悲鳴がルールを変えた!長時間労働是正への大きな一歩
なぜ、ここまで厳しく工期ダンピングが規制されるようになったのでしょうか。
それは、無理な工期が建設業界の長時間労働の最大の温床であったからです。
短い納期に間に合わせるため、休日返上で作業したり、夜遅くまで残業したり…。
こうした働き方が常態化し、多くの技能者が疲弊し、業界を去っていく原因となっていました。
私自身もアドバイザーとして訪れた現場で、疲労困憊の職人さんたちの姿を何度も目にしてきました。
今回の改正は、こうした現場の悲鳴がようやくルールを変えた、と言えるでしょう。
適正な工期が確保されれば、計画的に休日を取得でき、心身ともに健康な状態で仕事に臨むことができます。
これは、労働災害を防ぐ安全管理の観点からも、非常に重要な一歩なのです。
発注者も受注者も!適正な工期設定は「両者の義務」に
これまでの法律では、主に発注者が無理な工期を強いることが禁止されていました。
しかし、今回の改正で最も重要なポイントは、受注者側も「著しく短い工期」で契約を結ぶことが禁止されたことです。
つまり、「無理な納期だけど、うちなら何とかします」と安易に引き受けることも、今後は許されなくなります。
工期を設定することは、発注者と受注者、双方の責任となったのです。
これからは、見積もりを提出する段階で、工事内容に応じた適切な工数を算出し、根拠のある工期を提示することが求められます。
そして、発注者と対等な立場で工期について協議し、合意形成を図っていく必要があります。
お互いに無理のない計画を立て、安全で質の高い仕事をするためのパートナーになる。
そんな新しい関係性を築く意識が、これからの建設業界には不可欠ですね。
【ポイント3】一番のキモ!法改正で「現場の安全管理」はこう進化する
ここまで労務費や工期についてお話してきましたが、私が技術者として最もお伝えしたいのが、今回の法改正が「現場の安全管理」に与えるポジティブな影響です。
適正な利益と時間が確保されることは、職人の命を守ることに直結する、何より重要な変化なのです。
適正な労務費が「安全」につながる、本当の理由
「労務費が上がることと、安全に何の関係があるの?」と思われるかもしれません。
しかし、この2つには非常に密接な関係があります。
安全への投資余力が生まれる
建設現場の安全を確保するためには、ヘルメットや安全帯といった保護具はもちろん、足場や仮設通路、そして私たちが作っているような特殊梯子など、様々な安全機材が必要です。
これらの機材は、定期的な点検や交換が欠かせません。
しかし、厳しい価格競争の中で利益が圧迫されると、企業は真っ先にこうした経費を削ろうとしがちです。
「まだ使えるから」と使用期限の切れたヘルメットを使い続けたり、老朽化した足場を修理せずに使用したり…。
こうした小さなコスト削減が、重大な労働災害を引き起こす引き金になります。
今回の法改正で標準労務費が導入され、企業が適正な利益を確保しやすくなるということは、安全対策にしっかりと費用をかける「投資余力」が生まれるということです。
これは、現場で働く職人の皆さんの命を守る上で、何よりも重要なことなんです。
事例で学ぶ!安全投資で生産性もアップした中小企業
安全への投資は、単なるコストではありません。
実は、会社の生産性を高め、利益を増やすことにも繋がるのです。
私がアドバイザー時代に関わった、ある中小の設備工事会社の例をご紹介します。
| 改善前(悪い例) | 改善後(良い例) | |
|---|---|---|
| 課題 | 古い脚立を使っており、高所での作業に時間がかかり、不安定でヒヤリとすることが多かった。 | 最新の安全基準を満たした、安定性の高いプラットフォーム付きの特殊梯子を導入。 |
| 作業効率 | 設置や移動に手間取り、作業員は常に転落の不安を感じながら作業していた。 | 安定した足場で両手が自由に使えるため、作業に集中でき、作業時間が約20%短縮された。 |
| 結果 | 作業効率が悪く、残業が発生しがち。ヒヤリハットが多く、いつ事故が起きてもおかしくない状態。 | 作業効率が向上し、残業が減少。安全性が高まったことで従業員の安心感も増し、定着率もアップした。 |
このように、目先のコストを惜しまずに安全へ投資した結果、作業効率が上がり、人件費が削減され、結果的に会社の利益も増えるという好循環が生まれました。
今回の法改正は、こうした前向きな投資を行う絶好の機会と言えるでしょう。
今すぐできる!我が社の安全管理チェックリスト
法改正を待つだけでなく、今すぐにでも始められる安全管理の見直しはたくさんあります。
ぜひ、この機会に自社の現場をチェックしてみてください。
- 【保護具のチェック】
- [ ] ヘルメットの使用期限(ABS製は3年、FRP製は5年が目安)は切れていませんか?
- [ ] 安全帯(墜落制止用器具)は「フルハーネス型」が原則となっていますか?
- [ ] 保護メガネや安全靴は、作業内容に適したものを使用していますか?
- 【作業環境のチェック】
- [ ] 足場の組み立てや点検は、有資格者が適切に行っていますか?
- [ ] 開口部や端部には、適切な手すりや囲いが設置されていますか?
- [ ] 電動工具の絶縁状態やアースは適切に管理されていますか?
- 【体制・教育のチェック】
- [ ] 安全衛生責任者や職長は、その役割を正しく理解していますか?
- [ ] 新規入場者への安全教育は、毎回必ず実施していますか?
- [ ] ヒヤリハット報告書は形骸化せず、KY(危険予知)活動に活かされていますか?
一つでも「ドキッ」とした項目があれば、それは改善のチャンスです。
小さなことから、安全な職場づくりを始めていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q: 結局、2025年12月から具体的に何を準備すればいいの?
A: まずは、お使いの見積書フォーマットを見直しましょう。労務費の内訳を記載できる欄を設けるのが第一歩です。次に、自社の工期設定が無理のないものか、過去の工事記録を振り返って検証してみることをお勧めします。小さなことからで大丈夫ですよ。
Q: 標準労務費の具体的な金額はどこで確認できますか?
A: 国土交通省が毎年公表している「公共工事設計労務単価」が参考になります。 ただし、これはあくまで公共工事の基準です。 自社の状況に合わせて、社会保険料などの経費をきちんと上乗せして、自社の「標準」を考えていくことが大切です。
Q: 小さな会社なので、法改正に対応できるか不安です…。
A: お気持ちはよく分かります。しかし、今回の改正は中小企業を守るためのルールでもあります。例えば、元請けからの不当な値下げ要求を断る「法的根拠」ができたと考えてみてください。まずは、できる範囲から、一つずつ対応を進めていきましょう。地域の建設業協会などに相談するのも良い方法です。
Q: 安全対策を強化したいけど、何から手をつければいいか分かりません。
A: 素晴らしいお考えですね!まずは、現場の職人さんたちの声を聞いてみることです。「ヒヤリハット」の情報を共有するミーティングを開くだけでも、多くの課題が見えてきます。ちなみに、当社、特殊梯子製作所のような専門メーカーは、安全講習会なども行っていますので、そういった機会を活用するのも有効ですよ。
Q: 今回の改正で、建設キャリアアップシステム(CCUS)の重要性は増しますか?
A: はい、間違いなく増します。 これからは、技能者一人ひとりの経験や資格が「客観的なデータ」として評価され、それが労務費、つまり給与に反映される時代になります。 CCUSへの登録は、会社の技術力を証明し、優秀な人材を確保するためにも、ますます重要になっていくでしょう。
まとめ
今回の改正建設業法、いかがでしたでしょうか。
労務費や工期の話から、現場の安全管理まで、幅広い内容でしたが、根底にあるのは「建設業で働く人を大切にし、業界全体を未来につなげていこう」という強いメッセージです。
特に、私たちのような専門メーカーの人間から見ると、適正な利益が確保されることで、より安全で、より革新的な製品開発に繋がるという好循環が生まれることを期待しています。
法改正は、面倒なことばかりではありません。
これを機に、自社の働き方や安全への意識を見つめ直し、より強く、より良い会社へと進化していく。
そんな前向きなきっかけにしていただけたら、これほど嬉しいことはありません。
さあ、一緒に新しい時代の建設業を創っていきましょう。
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みなさん、お読みいただきありがとうございます!
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