2025年10月10日

薪ストーブユーザー必見!DIY煙突掃除を安全に。屋根へのアクセスを叶える「はしご」の選び方・使い方

薪ストーブの炎が揺らぐ光景は、何にも代えがたい暖かさと安らぎを与えてくれますよね。

その性能を長く維持するために欠かせないのが、定期的な煙突掃除です。

ご自身で挑戦したいと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、DIYで最も気になるのが「屋根に登るときの安全」ですよね。

「どんなはしごを選べばいいの?」「どう使えば安全なの?」そんなお悩みはありませんか?

この記事では、はしごのプロである私の視点から、薪ストーブの煙突掃除という高所作業を安全に行うための「はしごの選び方」と「プロが実践する使い方」を、3つのポイントに絞って分かりやすく解説します。

【この記事の結論】DIY煙突掃除を安全に行う3つの鉄則

DIYでの煙突掃除で最も重要なのは「墜落・転落事故の防止」です。安全な作業のために、以下の3つの鉄則を必ず守りましょう。

  • 鉄則1:はしご選び
    屋根の軒先より60cm以上長い」二連はしごを選びましょう。SGマークなど安全基準の確認も重要です。脚立や短い一連はしごの使用は危険です。
  • 鉄則2:はしごの使い方
    はしごは「地面に対して75度」で設置し、上部をロープでしっかり固定します。昇り降りは、両手両足のうち常に3点で体を支える「三点支持」を徹底してください。
  • 鉄則3:安全装備の着用
    万が一に備え、「ヘルメット」と「滑りにくい靴」は必須です。可能であれば、命綱となる「墜落制止用器具(安全帯)」も使用しましょう。

なぜ煙突掃除に「適切なはしご」が必要不可欠なのか?

皆さんも経験があるかもしれませんが、薪ストーブの煙突掃除を怠ると、煙道内に溜まったタールやススが原因で煙道火災という大きな事故につながる危険性があります。

火災を防ぐためにも掃除は必須です。

しかし、DIYでこの作業を行う際、火災の危険性以上に注意しなければならないのが、高所作業における「墜落・転落」です。

関連: 高所作業事故の8割は防げる!安全対策のプロが教える、正しい梯子の選び方と使い方

DIY煙突掃除に潜む一番の危険は「墜落・転落」

厚生労働省の統計を見ても、労働災害の中で墜落・転落事故は常に上位を占めています。

特に、高所作業に慣れていない一般の方が、ご自宅の屋根の上で作業をする際は、そのリスクが格段に高まるんです。

「うちの屋根は低いから大丈夫」「慣れているから平気」という過信が、実は最も危険な落とし穴かもしれませんね。

安全機材の専門家として言えるのは、安全対策は「万が一」のために行うものだということです。

脚立や短い一連はしごがNGな理由

「家にある脚立で済ませられないか?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、脚立は基本的に平らな床の上で使うことを想定した道具です。

不安定な地面に設置したり、屋根に乗り移るための十分な高さがなかったりすると、非常に危険なんですよ。

はしごは、地面と屋根をつなぐ命綱のようなものです。

屋根に安全に乗り移るためには、十分な長さと安定性を持った、適切なはしごを選ぶことが極めて重要になります。

短い一連はしごでは、屋根の軒先を越えて突き出すことができず、乗り移りの際に体を大きく乗り出す必要が出てしまい、転落のリスクが高まるというわけです。

DIY煙突掃除用はしごの安全な選び方 3つのポイント

ここからは、安全なはしごを選ぶための具体的なポイントを、私の経験に基づいて解説します。

ポイント1:長さと種類|「屋根の軒先+60cm以上」が絶対条件

まず、はしご選びで最も重要なのが「長さ」です。

はしごは、屋根の軒先よりも60cm以上突き出す長さが必要なんです。

これは、屋根に乗り移る際に、突き出した部分を手すり代わりにして安全に体を移動させるためのマージンです。

実は、工場の現場などでの高所作業を定めた「労働安全衛生規則」でも、はしごの最上部を60cm以上突き出すことが推奨されています。

ここがポイントです。

ご自宅の軒先までの高さを測り、それに60cmを足した長さが、あなたが必要とするはしごの最低限の長さと言えます。

一般家庭でこの長さを確保しつつ、持ち運びのしやすさも両立できるのが、二連はしごです。

ポイント2:材質と構造|軽さと丈夫さのバランスを見極める

はしごの材質は、主にアルミ製やスチール製があります。

  • アルミ製:軽くて錆びにくく、家庭での使用や持ち運びに最適です。
  • スチール製:重いですが、非常に高い強度を持ちます。

DIYでの煙突掃除なら、軽くて取り回しのしやすいアルミ製の二連はしごがおすすめです。

ただし、アルミ製でも、リベットや溶接部の接合がしっかりしているか、踏ざん(足をかける横棒)に滑り止めの加工が施されているかなど、構造的なチェックも欠かせません。

安価な製品の中には、接合部の強度が不十分なものもあるかもしれませんね。

購入前に、製品の仕様書やレビューをよく確認することが大切です。

ポイント3:安全基準の証|「SGマーク」や「JISマーク」を確認しよう

製品の安全性を客観的に判断する基準として、「SGマーク」や「JISマーク」を確認しましょう。

マークは、いわば製品の品質保証書のようなものです。

マーク意味合い特徴
SGマーク製品安全協会が定めた安全基準に適合している証万が一、製品の欠陥で人身事故が起きた場合の補償制度付き
JISマーク日本産業規格(JIS)に基づき、品質や性能が一定水準以上である証技術的な信頼性が高い

特にSGマークは、消費生活用製品の安全性を確保するためのもので、マーク付き製品を選ぶことが安全への第一歩だと言えます。

ただし、これらのSGマークやJISマークを取得しているからと言って安全というわけでもなく、また、SGマークやJISマークを取得していない製品は危険、というわけでもありません。

DIYユーザーの安全を守る、プロ仕様の安全機能

スーパーラダーGシリーズ

近年、DIY煙突掃除の安全性向上を目的として開発された製品の中には、従来の二連梯子の課題を解決する革新的な機能を持つものも登場しています。

例えば、当社の「スーパーラダー Gシリーズ」は、伸縮式でありながら手掛棒、壁当て、アウトリガー(安定脚)を標準装備し、上記の3つのポイントを高いレベルで満たすよう設計されています。

特に、屋根への乗り移り時に重要な手掛棒と、横滑り・転倒を防ぐアウトリガーは、DIYユーザーの安全性を格段に向上させる機能として注目されています。

事故を防ぐ!屋根でのはしごの安全な使い方【設置から昇降まで】

どんなに良いはしごを選んでも、使い方が間違っていれば事故につながります。

プロの現場で徹底されている、安全なはしごの使い方をステップ形式で解説します。

ステップ1:設置場所の確認「安定した水平な地面」を選ぶ

はしごを立てかける前に、まず地面を確認することが最も重要です。

  • 良い例:コンクリートやアスファルトなど、固く水平な地面。
  • 悪い例:土の上、砂利の上、傾斜地など、不安定な場所。

不安定な場所に設置すると、はしごが沈み込んだり、滑ったりして転倒の原因になります。

やむを得ず土の上に設置する場合は、はしごの脚の下に厚い板を敷くなどの対策を必ず講じてください。

ステップ2:正しい角度「75度」で立てかける

はしごの安全な立てかけ角度は、地面に対して約75度です。

この75度という角度は、工学的に見て、はしごが滑り落ちる力と、壁から離れて倒れようとする力のバランスが最も安定する角度なんです。

  • 角度が急すぎると(75度以上)、壁に強く寄りかかりすぎて、足元が滑りやすくなります。
  • 角度が緩すぎると(75度未満)、壁から離れて倒れやすくなります。

つまり、滑りやすくも倒れやすくもない、最も安定する角度というわけです。

ステップ3:しっかり固定する「ロープでの固定」を習慣に

はしごが横にずれたり、風で倒れたりするのを防ぐため、必ず上部を固定しましょう。

はしごの上部を、雨どいの金具や建物の柱など、頑丈な構造物にロープなどでしっかりと結びつけます。

面倒かもしれませんが、この一手間が万が一の事故を防ぐ、安全への最も重要な投資です。

二人作業であれば、一人が下でしっかりはしごを支えることも、安全性を格段に高めます。

ステップ4:安全な昇り降り「三点支持」を徹底する

はしごを昇り降りする際の基本動作が三点支持です。

これは、両手両足のうち常に3点(例:両手と片足、または両足と片手)をはしごに接触させて体を支える方法です。

  • 荷物を持って昇り降りしない:道具はロープで引き上げるなどし、両手は必ず空けておきましょう。
  • 体をはしごから乗り出さない:体を乗り出すとバランスを崩し、転倒の原因になります。

昇り降りは慎重に、そしてゆっくりと行うことを徹底してください。

はしごだけじゃない!安全性をさらに高める周辺アイテム

安全なはしごの選び方と使い方を学んだら、次は作業時の装備にも目を向けましょう。

命を守る最後の砦「墜落制止用器具(安全帯)」

プロの現場では、高所作業を行う際に墜落制止用器具(以前は安全帯と呼ばれていました)の着用が義務付けられています。

万が一、はしごから滑り落ちたり、屋根でバランスを崩したりした際に、命を守る最後の砦となるのがこの器具です。

DIYでの使用は義務ではありませんが、導入を検討する価値は十分にあります。

選び方のポイントは、体の動きを妨げにくいフルハーネス型が最も安全性が高いとされていますが、DIYであれば胴ベルト型も選択肢に入ります。

頭部を守る「ヘルメット」と足元を固める「滑りにくい靴」

高所作業では、落下物や転倒時の衝撃から頭部を守るためのヘルメットも欠かせません。

また、屋根の上は予想以上に滑りやすいものです。

足元を固めるために、靴底に滑り止め加工が施された、滑りにくい作業靴を必ず着用してください。

「備えあれば憂いなし」ということわざの通り、基本的な装備の徹底が、安全な作業環境を作り出します。

よくある質問(FAQ)

Q: はしごはレンタルできますか?

A: ホームセンターや専門のレンタル業者で、二連はしごなどのレンタルが可能な場合があります。

ただし、レンタル品は使用頻度が高く、傷や歪みがないか状態をよく確認し、前述したSGマークなどの安全基準を満たしているかチェックすることが重要です。

購入する場合と比較して、保管場所の心配がないというメリットがありますが、使用のたびに費用がかかるというデメリットもあります。

また、当社特殊梯子製作所のはしごは貸し出し可能です。
スーパーラダーなど、気になるはしごがございましたらお気軽にお申し付けください。

こちらのページ下部からお問合せください

Q: はしごの保管方法で気をつけることはありますか?

A: はしごは、直射日光や雨風を避け、屋内に横にして保管するのが理想です。

立てかけて保管すると、長期間にわたって反りや歪みの原因になる可能性があります。

また、使用前には必ず、はしごにガタつきや破損がないか、定期的な点検を行うことが大切です。

Q: 雨の日や風の強い日に作業しても大丈夫ですか?

A: 絶対に避けるべきです。

屋根やはしごが濡れていると非常に滑りやすく、強風ははしごの安定を著しく損ないます。

天候の確認は高所作業の基本中の基本です。

安全は何よりも優先すべきですから、少しでも天候に不安がある場合は、作業を延期してください。

Q: 煙突掃除に適したはしごの値段の相場はどれくらいですか?

A: 家庭用の二連はしごであれば、必要な長さやメーカーにもよりますが、おおよそ2万円~5万円程度が目安です。

安価すぎる製品は、材質や接合部の安全面に不安がある可能性もあるため、価格だけでなく、前述した安全基準や構造をしっかり確認して選ぶようにしましょう。

Q: 二人作業が推奨されるのはなぜですか?

A: 一人がはしごを支え、もう一人が昇ることで、はしごの安定性を格段に高めることができるからです。

特に設置や固定、屋根への乗り移りの際には、下で支える人の存在が物理的な安定だけでなく、作業者の精神的な安心にも繋がります。

安全は何よりも優先すべきですから、可能な限り二人以上で作業することをおすすめします。

まとめ

今回は、DIYでの薪ストーブ煙突掃除を安全に行うための「はしご」に焦点を当てて解説しました。

安全な作業を実現するためのポイントを改めて確認しましょう。

  1. 適切なはしご選び:「屋根の軒先+60cm以上」の長さがあり、SGマークなどの安全基準を満たしたはしごを選ぶこと。
  2. 安全な使い方:設置角度「75度」やロープでの固定、昇降時の「三点支持」といった基本動作を徹底すること。
  3. 周辺アイテムの活用:墜落制止用器具やヘルメットなどの安全装備も活用し、安全対策を万全にすること。

薪ストーブのある暮らしは素晴らしいものですが、その楽しみは安全があってこそ成り立ちます。

はしごは単なる道具ではなく、あなたの命を守るための大切な安全機材です。

この記事を参考に、万全の準備で安全なDIY煙突掃除に挑戦してください。

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このコラムの監修者

寺本 隆

寺本 隆( 業界歴:40年 )

長年、建築や造園業の現場で特殊なはしごを開発し続けてきた当社は、「どんな要望にも応えたい」という強い信念のもと、持ち運びやすく緊急時に展開できる伸縮はしごを実現しました。例えば鉄道での迅速な避難に貢献し、多くの官公庁や大手企業で採用されています。お客様からの多様な要望に応え、業界で類を見ない製品を生み出してきた私たちは、“考えることをやめなければ不可能はない”と信じ、今後も唯一無二のはしごを創り続けることを使命としています。

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