2025年10月10日
伸縮はしご選び、まだ「長さ」だけで決めていませんか?プロが本当に見ている“安全”の3つの急所

伸縮はしご、一家に一台あると本当に便利ですよね。
高い場所の電球交換や、雨どいの掃除、プロの現場では設備点検など、活躍の場は多岐にわたります。
でも、その便利さの裏側で、「グラッとしてヒヤリとした」経験はありませんか?
実は、伸縮はしごによる事故の多くは、製品選びの段階で防げるものなんです。
長年、産業機器の設計や安全評価に携わってきたプロの視点から見ると、多くの方が「長さ」や「価格」だけで製品を選んでしまっていることに、正直なところ危機感を覚えます。
安全なはしご選びは、命を守るための投資です。
この記事では、元設計者であり、現役のはしごメーカー技術者である私が、本当に安全な一本を見抜くための「3つの急所」を、専門用語をなるべく使わずに、分かりやすく徹底解説します。
【結論】安全な伸縮はしごは「認証マーク以外」の基準で選ぶ
伸縮はしごを選ぶ際、多くの人が安全の証としてSGマークなどを探しますが、本当に重要なのは以下の3つのポイントです。

【急所1】伸縮はしごの生命線!「ロック機構」の安全性を見抜く
伸縮はしごの安全性を語る上で、最も重要なのが「ロック機構」です。
なぜなら、ここが不完全だと、はしごの機能そのものが崩壊し、重大な事故に直結するからです。
なぜロック機構が最重要なのか?よくある事故事例から学ぶ
皆さんも経験があるかもしれませんが、伸縮はしごの事故原因で最も恐ろしいのは、「使用中に意図せず縮んでしまう」ことです。
製品評価技術基盤機構(NITE)の事故情報を見ても、伸縮式のはしごが不完全なロック状態で使用され、急に縮むことで転落や指挟みが発生した事例が報告されています。
つまり、ロックが甘いと、作業中に体重をかけた瞬間に「ガクン!」と縮んでしまい、そのまま地面に叩きつけられる危険があるというわけです。
私が工業技術センターで評価アドバイザーをしていた頃も、「ロックレバーのバネが弱くて、少しの振動で外れてしまった」というヒヤリハット事例をよく耳にしました。
はしごの安全は、この小さなロック機構の確実性にかかっていると言えるんです。
設計者が語る!安全なロック機構の3つの条件
では、プロの設計者として、どのようなロック機構が安全だと判断するのでしょうか。
特に注目したいのは、次の3つの条件です。
- 確実なロック(ダブルロック構造)
- ロックが解除されるには、二重の手順が必要な「ダブルロック構造」が理想的です。
- 片方のロックが外れても、もう一方が支えることで、不意の事故を防ぎます。
- 誤操作の防止
- ロック解除ボタンが、作業中に誤って触れない位置や構造になっていることが大切です。
- 例えば、ロック解除時に指を挟まないよう、ゆっくりと縮む設計(ソフトクローズ機能)になっている製品もあります。
- 状態の視認性(インジケーター)
- 良いロックは「カチッ」という音と感触で確実にロックされたことが分かります。
- さらに、ロックが完了すると色が変わるなど、視覚的にロック状態が確認できる「インジケーター」機能があれば完璧です。
購入前に、実際に伸ばしてみて、ロックが確実にかかるか、そしてその状態が目で見てすぐにわかるかを確認してみてくださいね。
【急所2】伸縮はしごの安定は土台から!「脚部と素材」が作る信頼性
はしごの安定は、建物を支える基礎と同じで、土台である「脚部」と「素材」で決まります。
どんなに立派なはしごでも、足元が不安定では意味がありません。
「たかが足、されど足」伸縮はしごの安定性を左右する脚部の秘密
はしごの事故原因で、ロック機構の次に意外と多いのが、横滑りや転倒です。
これは、設置場所が平らでなかったり、脚部の滑り止めが摩耗していたりすることが原因です。
脚部の滑り止めゴムは、単なるゴムではありません。
設置面積が広く、地面をしっかり掴むような溝が深く、特殊な表面構造を持つ大型のゴムが良いですね。
また、ゴムの材質も重要で、硬すぎず、適度な摩擦係数を持つものが、コンクリートやタイルなどの様々な地面で安定性を発揮します。
設置場所を選ばない!「自在脚」と「伸縮脚」という選択肢
プロの現場では、地面が平らとは限りません。
階段や傾斜地、段差がある場所で、はしごを無理に設置するのは非常に危険です。
そんな時、プロが選ぶのが、現場の状況に対応できる特殊な脚部を持つ製品です。
- 伸縮脚(段差対応):
- 左右の脚の長さを個別に変えることができる機能です。
- 階段や段差のある場所でも、はしごを垂直に、そして安定して設置できます。
- 自在脚(角度対応):
- 脚の角度が自由に調整できる機能です。
- 傾斜した地面でも、脚の裏全体が地面に密着し、滑り止め効果を最大限に高めます。
これらの機能は、安全性を格段に高めるための「現場対応力」と言えるんです。
素材が安全性を決める!アルミ合金の選び方
伸縮はしごの素材は、ほとんどがアルミ合金です。
しかし、アルミ合金にも様々な種類があり、強度が大きく異なります。
プロ用の製品は、軽さと強度を両立させるために、ねじれやたわみに強い高強度アルミ合金が使われています。
一般的に、JIS規格の「業務用」に相当する最大使用質量130kgに対応した製品は、軽作業用の100kg対応品よりも、過酷な使用条件に耐えられるよう工夫されています。
【急所3】その伸縮はしごは信頼できる?「安全基準とメーカー」の選び方
安全なはしご選びの最後の急所は、製品そのものの性能だけでなく、「安全基準」と「メーカーの姿勢」です。
安全マークの意味、正しく理解していますか?
はしごの安全性を示す代表的なマークには、「SGマーク」と「Aマーク」があります。
- SGマーク(Safe Goods)
- 製品安全協会が定める安全基準に適合した消費生活用製品に表示されます。
- 特に重要なのは、SGマーク付き製品の欠陥により人身事故が発生した場合、被害者に損害賠償を行う補償制度があることです。
- つまり、このマークは「安全基準を満たしている」だけでなく、「万が一の際も責任を持つ」というメーカーの姿勢を示すものと言えます。
- Aマーク(軽金属製品協会)
- 軽金属製品協会はしご脚立部会の基準に適合した製品に表示されます。
- SGマークと並び、はしごの安全性を認証する、よりプロユースを想定した厳しい基準です。
これらのマークは、第三者機関が安全性を認めた証です。
安価な輸入品の中には、これらのマークがないものもありますので、購入前には必ず確認してくださいね。
技術力がわかる!「信頼できるメーカー」の見分け方
安全認証マークも重要ですが、メーカー自身の技術力や姿勢も大切です。
当社、特殊梯子製作所のような専門メーカーは、日本のものづくりの縁の下の力持ちです。
信頼できるメーカーを見分けるポイントは、次の通りです。
特注品への対応力
カタログにない寸法や特殊な現場の要望に応えて、特別注文(特注)を製造できる技術力があること。
安全な使い方への発信
公式サイトや製品マニュアルで、安全な使い方や点検方法を丁寧に発信していること。
日本製へのこだわり
日本の多様な作業環境を想定し、職人技と最新技術を組み合わせた製品開発を行っていること。
これらは、メーカーが自社製品に責任と誇りを持っている証拠であり、製品の信頼性に直結します。
【実践編】プロの視点を凝縮した伸縮はしご「スーパーラダー」の安全性

これまでお話ししてきた安全のポイントを、私たちが開発・製造している『スーパーラダー』を例に具体的に見ていきましょう。
スーパーラダーは、プロの現場での安全性を徹底的に追求した伸縮はしごです。
これまで解説した「3つの急所」をスーパーラダーで見てみよう
スーパーラダーは、最長7.2mまでラインナップがありながら、最小約90cmまでコンパクトに収納できるのが大きな特長です。
その上で、私たちがこだわった安全設計は以下の通りです。
急所 | スーパーラダーの特長 | 安全性の理由 |
---|---|---|
ロック機構 | 指挟み防止を考慮した設計(詳細機構は非公開) | 確実なロックと、収納時の安全性を両立。 |
脚部と素材 | 自在脚(傾斜地対応)と伸縮脚(段差対応)のモデルを用意。許容重量100kg。 | 現場の状況に合わせて最適な安定性を確保。アルミニウム合金製で軽さと強度を両立。 |
メーカーの姿勢 | 日本製、特注サイズ製作可、上位モデルにアウトリガーを搭載。 | 日本の多様な作業環境を想定し、責任と誇りを持って製造。特注対応で現場の安全ニーズに柔軟に対応。 |
特に、スーパーラダーの脚部は、モデルによって「自在脚」(傾斜地対応)と「伸縮脚」(段差対応)が標準装備されており、不安定な場所でも安全に設置できる工夫が凝らされています。
さらに、横滑りや転倒防止用のスタビライザーや、より安全性を高めるアウトリガー(Gシリーズに搭載)をオプションで用意しているのも、私たちが安全を最優先している証拠です。
開発者が語る「スーパーラダー」に込めた想いと工夫
私は、設計者、評価者、そして製造者という三つの立場を経験してきました。
その中で痛感したのは、「安全は、現場の環境に左右されてはいけない」ということです。
スーパーラダーは、ただ伸縮するだけでなく、どんな現場でも最大限の安定性を発揮できるよう、特に脚部と現場対応力にこだわりました。
例えば、SL-450には段差に対応できる「伸縮脚」を標準装備し、その他のモデルにも傾斜に対応する「自在脚」を標準としています。
日本の多様な作業環境を想定し、職人さんたちが安心して仕事に集中できる道具でありたい。
その想いが、この製品には詰まっています。
また、オーダー1台から特注サイズを製作できるのは、お客様の安全ニーズに真摯に向き合う私たちの技術力の証です。
よくある質問(FAQ)
Q: 伸縮はしごの寿命はどのくらいですか?
A: 使用頻度や保管状況によりますが、5〜7年を目安に、使用前の点検をより入念に行うことを推奨します。
特にロック機構や滑り止め部分に摩耗や劣化が見られたら、安全のために買い替えをご検討ください。
少しでも異常を感じたら使用を中止することが最も重要です。
Q: 伸縮はしごで絶対にやってはいけないことは何ですか?
A: 最も危険なのは「ロックが不完全な状態での使用」です。
各段が確実にロックされているか、必ず確認してください。
また、スーパーラダーはつり下げ使用や水平架台使用は不可とされています。
許容重量(スーパーラダーの場合は100kg)を超える重さをかけること、不適切な角度(約75度が基本)での使用は、重大な事故に繋がるため絶対におやめください。
Q: 収納時に指を挟みそうで怖いです。安全な縮め方はありますか?
A: 製品によって機構が異なりますので、必ず取扱説明書をご確認ください。
スーパーラダーは指挟み防止に配慮した設計ですが、基本的な注意点として、一段ずつ、支柱の外側を持ちながらロックを解除するのが安全です。
決してステップ部分に手をかけたまま操作しないでください。
Q: プロ用と家庭用の伸縮はしごの最大の違いは何ですか?
A: 主な違いは「耐久性」と「現場対応力」です。
プロ用は、より過酷な使用環境を想定した堅牢な作りになっています。
また、スーパーラダーの「自在脚」や「伸縮脚」のように、平坦でない場所でも安全に設置できるような特殊な機能を持つ製品が多いのが特徴です。
さらに、特注サイズに対応できるメーカーは、プロの現場の特殊なニーズに応える技術力があると言えます。
Q: はしごの保管で気をつけることはありますか?
A: 屋外での雨ざらしは避けてください。
アルミ製でも接合部やロック機構の金属部品が錆びたり、樹脂部品が紫外線で劣化したりする原因になります。
屋内や物置など、直射日光や雨風が当たらない場所で、横にして保管するのが理想です。
スーパーラダーは最小約90cmまで縮むため、乗用車のトランクにも収まるコンパクトさで、保管場所を選びません。
まとめ
今回は、プロが本当に見ている安全な伸縮はしご選びの「3つの急所」について、私たちの製品『スーパーラダー』を例にご紹介しました。
重要なのは「ロック機構」「脚部と素材」そして「安全基準とメーカー」です。
長さや価格だけでなく、こうした安全性の本質を見極めることが、あなた自身や、あなたの職場の安全を守ることに繋がります。
はしごは、あなたや家族の体を預ける大切な道具です。
この記事でご紹介したポイントを参考に、ぜひご自身の目で、本当に信頼できる一本を選び抜いてください。
記事でご紹介した、プロの現場で鍛えられた伸縮はしご『スーパーラダー』の詳細は、こちらの製品ページからご覧いただけます。
サンプルの貸し出しも行っておりますので、その安全性をぜひご自身で体感してください。
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みなさん、お読みいただきありがとうございます!
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