2025年6月24日

山間部の住宅における土砂災害対策〜避難はしごの効果的な設置場所と使用法〜

大雨のニュースが流れるたび、「うちの裏山は大丈夫だろうか…」と不安な気持ちになった経験はありませんか?
特に山間部にお住まいの方にとって、土砂災害は決して他人事ではありませんよね。

いざという時、避難経路が土砂で塞がれてしまったら…と考えると、本当に恐ろしいものです。
実は、そんな万が一の事態に備え、命を守るための重要なアイテムが「避難はしご」なんです。

この記事では、土砂災害から家族を守るための避難はしごの効果的な設置場所と、いざという時に慌てないための正しい使い方を、ポイントを絞って分かりやすく解説していきます。

まずは知っておきたい、山間部住宅に潜む土砂災害のリスク

「うちは昔からここに住んでいるから大丈夫」なんて思っていませんか?
近年、これまでに経験したことのないような大雨が降ることも増えています。
まずはご自宅にどんなリスクがあるのか、正しく知ることから始めましょう。

そもそも土砂災害とは?3つのタイプを知ろう

一口に土砂災害と言っても、実はいくつかの種類があります。
ここでは代表的な3つのタイプを、身近なもので例えてみますね。

1. がけ崩れ

これは、積み上げた本棚の本が突然ガラガラっと崩れ落ちるようなイメージです。地面に雨水がしみこんで、突然、斜面が崩れ落ちます。スピードが速く、発生してから避難するのが非常に難しいのが特徴です。

2. 土石流

これは、大量のビー玉を坂道に流した時のようなものを想像してみてください。谷や川にある石や土砂が、大雨で発生した水と一緒になって、ものすごい勢いで流れ下ってきます。時速20〜40kmにも達することがあり、破壊力が非常に大きいんです。

3. 地すべり

これは、少しイメージが難しいかもしれませんが、斜面が広い範囲で、ゆっくりと「すべる」ように動き出す現象です。直接的な被害だけでなく、せき止められた川の水があふれるなど、二次的な災害を引き起こすこともあります。

「うちは大丈夫」は危険信号!自宅のリスクを確認する方法

ご自宅のリスクを知るために、まず確認していただきたいのが「ハザードマップ」です。
これは、国や自治体が「どこで災害が起こりやすいか」を示した地図のことなんですよ。

国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」を使えば、ご自宅の住所を入力するだけで、誰でも簡単に確認できます。

マップ上には「土砂災害警戒区域」といった表示が出てきますが、難しく考える必要はありません。
つまり、「大雨が降った時に特に注意が必要ですよ」と国や県が示しているエリアのことです。

まずはこのマップを見て、ご自宅が該当エリアに入っているかを確認することが、防災の第一歩というわけです。

なぜ「避難はしご」が命を守る最後の一手になるのか?

「避難するなら玄関からでいいのでは?」と思うかもしれませんね。
しかし、土砂災害の時には、その当たり前が通用しなくなる可能性があるんです。
ここでは、技術者の視点から、なぜ避難はしごが必要なのかを解説します。

玄関や通常の避難経路が使えなくなるケース

土砂災害が発生すると、流れ込んだ土砂によって1階部分が埋まってしまったり、玄関前の道が完全に寸断されたりすることがあります。
そうなると、いつも使っている玄関や勝手口は、出口としての機能を失ってしまいます。

このような状況では、2階の窓やベランダが、外部へ脱出するための唯一の希望となるのです。

普段は考えもしないかもしれませんが、万が一の事態では、こうした「第2の避難経路」を確保しておくことが生死を分けることになりかねません。

垂直避難の重要性と「最後の砦」としてのはしご

災害時には「垂直避難」という考え方が非常に重要になります。
これは、浸水や土砂の流入があった際に、建物のより高い階へ移動して身の安全を確保することです。

まずは2階などの安全な場所へ避難し、そこから救助を待つのが基本です。
そして、その2階からさらに安全な場所へ移動したり、救助隊に降りる手段を示したりするための最後の砦となるのが「避難はしご」なんです。
まさに、命をつなぐための「命綱」と言える存在なんです。

【ここがポイント!】避難はしごの効果的な設置場所3選

では、具体的にどこに避難はしごを設置すれば良いのでしょうか。
ここが最も重要なポイントです。
特殊梯子メーカーのプロとして、絶対に押さえてほしい3つの場所をお伝えします。

1. 崖や斜面と「反対側」の窓・ベランダ

これが最も重要な大原則です。
土砂は、当然ながら崖や斜面のある方向から流れ込んできます。
そのため、はしごは必ず、その崖や斜面とは反対側にある窓やベランダに設置してください。

土砂が直撃する側の窓は、ガラスが割れたり、窓枠ごと破壊されたりする危険性が非常に高いです。
土砂が流れ込む側から、できるだけ遠い場所を選ぶのが鉄則です。

2. 救助隊が見つけやすい「道路側」の窓

次に考えたいのが、救助隊からの見つけやすさです。
もし、はしごを使って下に降りることが難しい状況でも、道路に面した窓に避難はしごが掛かっていれば、それは「ここに人がいます!」という重要なサインになります。

救助隊は、道路から見える範囲で要救助者を捜索します。
道路側の窓は、自分の存在を外部に知らせるための有効な場所になるというわけです。

3. 設置・固定がしやすい頑丈な場所を選ぶ

最後に、技術的な観点から非常に重要なのが、設置場所の強度です。
避難はしごは、フックを手すりや窓枠に引っ掛けて使います。

ここの強度が不十分だと、体重をかけた瞬間に手すりが壊れたり、はしごが外れたりして、重大な転落事故につながる危険があります。
設置を考えている場所の手すりや窓枠が、大人の体重を支えられるだけの十分な強度を持っているか、必ず事前に確認してください。

避難はしごの効果的な設置場所
避難はしごの効果的な設置場所

いざという時のために!避難はしごの正しい使い方と注意点

避難はしごは、持っているだけでは意味がありません。
いざという時に、慌てず正しく使えるようにしておくことが大切です。

ステップで解説!避難はしごの基本的な使用手順

落ち着いて作業すれば、決して難しいものではありません。
基本的な手順を覚えておきましょう。

1. フックを固定する

窓枠やベランダの手すりに、はしごのフックをしっかりと、確実に取り付けます。ガタつきがないか手で揺すって確認しましょう。

2. はしごを降ろす

もつれないように注意しながら、はしごの束を建物の外側へゆっくりと降ろします。

3. 一人ずつ降りる

体を外に出し、はしごに体を預けるようにして、ゆっくりと一歩ずつ降ります。必ず、前の人が完全に地面に着いてから、次の人が降り始めてください。

よくある失敗例と安全に使うための注意点

パニック状態だと、思わぬ行動をとってしまうことがあります。
よくある失敗例を知っておき、安全に使うための注意点を頭に入れておきましょう。

項目❌ 悪い例⭕️ 良い例
降りる人数慌てて複数人で降りようとする。必ず一人ずつ、順番を守って降りる。(はしごの耐荷重を超えると大変危険です)
手荷物リュックなどの荷物を持って降りる。体ひとつで降りることに集中する。(両手がふさがるとバランスを崩しやすくなります)
服装半袖・半ズボンなど肌の露出が多い服装。長袖・長ズボンで肌を守り、滑りにくい靴を履く。(壁で体を擦るケガを防ぎます)

よくある質問(FAQ)

皆さんからよくいただく質問にお答えしますね。

Q: 賃貸住宅やマンションでも設置できますか?

A: まずは管理規約を確認することが必要です。
ただし、壁に穴を開けないフック式の避難はしごであれば、設置可能な場合が多いですよ。
判断に迷う場合は、大家さんや管理会社に相談してみましょう。

Q: 子どもや高齢者でも安全に使えますか?

A: 製品によりますが、最近はアルミ製で軽量なモデルも増えています。
ただし、実際に使用するにはある程度の体力が必要です。
何よりも、事前に家族で使い方をシミュレーションし、訓練しておくことが大切です。

Q: 避難はしごに耐用年数やメンテナンスは必要ですか?

A: はい、必要です。
金属製でも経年で劣化する可能性があります。
メーカーが推奨する期間(一般的に5〜10年)を目安に点検や買い替えを検討してください。
年に一度は箱から出して、フック部分などにサビや異常がないか確認することをおすすめします。

Q: どんな種類のはしごを選べば良いですか?

A: 建物の階数に合った長さのものを選ぶのが大前提です。
材質はアルミ製が軽くて扱いやすいでしょう。
収納方法も箱型や袋型など様々なので、ご自宅の収納スペースに合わせて選ぶのがポイントですよ。

参考までに私たちが作っている「QQラダー」という避難はしごも、そうした点を考慮して設計されています。

これは国家検定にも合格している製品でして、一番の特長は、はしごの横桟(足をかける部分)に「突子(とっし)」という突っ張り棒が付いていることです。

これが壁に当たって、はしごが揺れたりよれたりするのを防いでくれるので、お子さんやご年配の方でも比較的安心して降りられるように工夫されています。

もちろん、使わない時はコンパクトに収納できます。
あくまで一つの例ですが、こうした「安全性」や「収納性」も、選ぶ際の重要な視点として持っておくと良いかもしれません。

Q: 設置に法律上の義務や補助金はありますか?

A: 一般の戸建て住宅に設置義務はありません。
しかし、自治体によっては防災用品の購入に補助金制度を設けている場合があります。
「お住まいの市町村名 防災用品 補助金」などで一度検索してみることをお勧めします。

まとめ

今回は、山間部の住宅における土砂災害対策として、避難はしごの重要性から具体的な設置場所、使い方までを解説しました。

最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしますね。

  • ポイント1:まずはハザードマップで自宅のリスクを正しく知ること。
  • ポイント2:はしごは「崖とは反対側」の安全な場所に設置すること。
  • ポイント3:いざという時に使えるよう、事前に使い方を確認しておくこと。

「備えあれば憂いなし」ということわざがありますが、安全機材はまさにそのための道具です。
この記事をきっかけに、まずはご自宅のハザードマップを確認し、家族で避難経路について話し合うことから始めてみてください。

それが、あなたと大切なご家族の命を守るための、確実な第一歩となるはずです。
私たちのような専門メーカーも、皆さんの安全な暮らしを支える技術で、いつでもお手伝いします。

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このコラムの監修者

寺本 隆

寺本 隆( 業界歴:40年 )

長年、建築や造園業の現場で特殊なはしごを開発し続けてきた当社は、「どんな要望にも応えたい」という強い信念のもと、持ち運びやすく緊急時に展開できる伸縮はしごを実現しました。例えば鉄道での迅速な避難に貢献し、多くの官公庁や大手企業で採用されています。お客様からの多様な要望に応え、業界で類を見ない製品を生み出してきた私たちは、“考えることをやめなければ不可能はない”と信じ、今後も唯一無二のはしごを創り続けることを使命としています。

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