2024年11月24日
事故ゼロへ!マンホールの安全上り下り手順とおすすめ装備
マンホール内作業は、酸欠や有毒ガスの危険、転落事故など多くのリスクを伴うため、適切な安全対策が欠かせません。
厚生労働省の労働安全衛生統計によれば、こうした閉鎖空間での作業中に発生する事故は毎年多く報告されており、その多くが事前の準備不足や基本的な安全対策の欠如によるものです。
しかし、正しい知識と適切な対策があれば、これらの事故は防ぐことができるのです。
本記事では、マンホール作業の危険性と安全対策、特に「安全な上り下り」の手順に焦点を当て、現場で即実践できる具体的なノウハウをわかりやすく解説していきます。
マンホール作業の基本的な危険性と対策
マンホール特有の危険要因
マンホール内作業は、その密閉された環境特性から、複数の重大な危険が潜んでいるのです。
特に注意が必要な危険要因は以下の3点です。
- 酸素濃度18%未満での酸素欠乏症のリスク
- 硫化水素やメタンガスなどの有毒ガスによる中毒の危険
- 開口部やタラップでの転落・墜落による事故
これらの危険要因は、適切な対策を講じなければ、作業員の生命に関わる重大な事故につながる可能性があります。
事故事例から学ぶ教訓
2020年に茨城県土浦市で発生した痛ましい事故は、マンホール作業の危険性を如実に示しています。
この事故では、下水道の汚泥除去作業中に作業員2名が硫化水素と一酸化炭素中毒により死亡しました。
事故の主な原因は、作業前のガス濃度測定の不備と換気対策の不足だったようです。
この事例は、作業前の安全確認と適切な保護具の使用が、いかに重要であるかを私たちに教えています。
関連: https://www.asahi.com/articles/ASNBP35RGNBPUJHB002.html
基本的な安全対策のポイント
マンホール作業の安全を確保するためには、体系的な対策の実施が不可欠なんです。
特に重要な安全対策は以下の3つです。
- 作業前のリスクアセスメントと作業主任者の選任
- ヘルメットやフルハーネス型墜落制止用器具などの保護具の使用
- 避難経路の確保と救助用具の準備
これらの対策は、必ず作業開始前に確認し、現場全体で徹底する必要があります。
安全対策を確実に実施することで、作業中の事故リスクを大幅に低減できるんです。
定期的な安全教育と訓練を通じて、作業員一人一人の安全意識を高めることも重要ですね。
安全な上り下りの事前準備
マンホール内作業の安全を確保するためには、作業開始前の入念な準備と確認が不可欠になっています。
作業前のリスクアセスメント
作業開始前には、現場の状況や潜在的な危険要因を評価し、適切な対策を計画することが求められます。
天候の確認や周辺環境のチェックも、リスクアセスメントの重要な要素なのです。
これらの評価結果は、作業主任者が記録し、作業員全員で共有することが推奨されます。
マンホール周辺の安全確認
マンホール周辺の安全確保には、以下の2つの重要な作業が含まれますので、しっかり確認しておきましょう。
周囲の障害物の除去
作業の妨げとなる障害物を取り除き、安全な作業スペースを確保する必要があります。
警告標識の設置
作業中であることを示す標識やコーンを設置し、第三者の立ち入りを防止することが重要です。
マンホール蓋の開閉方法
マンホール蓋の開閉には、専用の工具と正しい手順の遵守が欠かせません。
専用工具の使用
- マンホール蓋の開閉には、専用の開閉器やバールを使用します。
- 適切な工具を使用することで、蓋の損傷や作業者の怪我を防ぐことができます。
正しい手順の遵守
蓋を開ける際は、足元に注意しながらゆっくりと持ち上げ、静かに地面に置くことが求められます。
閉める際も同様に、慎重な作業を心がけましょう。
換気の実施
マンホール内の安全な作業環境を確保するため、適切な換気が不可欠です。
ガス濃度の測定
- 作業前に、酸素濃度や有毒ガスの有無をガス検知器で測定します。
- 酸素濃度が18%未満の場合や有毒ガスが検出された場合は、換気が必要です。
強制換気の実施
必要に応じて、送風機やブロアを使用して強制的に換気を行い、内部の空気を入れ替えることが推奨されます。
保護具の点検と装着
作業前の保護具の確認と適切な装着は、作業員の安全を守る上で最も重要な準備です。
必須の保護具と確認ポイント
保護具 | 主な確認事項 | 使用上の注意点 |
ヘルメット | ・適切なサイズの選択 ・破損や亀裂の有無 | ・あごひもの確実な締め付け ・定期的な交換の実施 |
墜落制止用器具 | ・フルハーネス型の選択 ・ベルトやバックルの状態 | ・各部の確実な装着 ・D環への適切な取り付け |
ガス検知器 | ・電池残量の確認 ・センサーの動作確認 | ・作業中の常時携行 ・定期的な校正の実施 |
これらの保護具は、作業開始前に必ず点検し、正しく装着することが求められます。
作業中も定期的に保護具の状態を確認し、異常が見つかった場合は直ちに交換や修正を行いましょう。
マンホール作業に適した梯子の選び方と活用
マンホール作業における安全性と作業効率は、適切な梯子の選択と使用方法に大きく左右されます。
標準的なタラップと持ち運び可能な梯子の比較
マンホールでの昇降に使用される梯子には、固定式のタラップと可搬式の梯子があり、それぞれに特徴があります。
タラップ(固定式梯子)の特徴
メリット | デメリット |
・設置が不要で即座に使用可能 ・構造物の一部として設計されており安定性が高い | ・老朽化や腐食のリスクあり ・設置場所や形状によって使いづらい場合がある |
タラップは、頻繁に使用されるマンホールや構造的に安定している場合に特に適しています。
持ち運び可能な梯子の特徴
メリット | デメリット |
・状況に応じて最適な位置に設置可能 ・最新の安全基準を満たした製品を選択できる | ・持ち運びや設置に手間が必要 ・設置方法を誤ると事故につながる可能性がある |
可搬式の梯子は、タラップが設置されていない場所や、特定の作業条件に合わせて使用するのが効果的です。
特殊なマンホールに対応するオーダーメイド梯子
標準的な梯子では対応が難しい特殊なマンホールの場合、オーダーメイドの梯子が有効な選択肢となります。
オーダーメイド梯子のメリット
- マンホールの寸法や形状に合わせた最適設計が可能
- 使用環境に適した材質を選択できる
- 安全機能を必要に応じて追加できる
これらの特徴により、作業効率と安全性を両立した理想的な梯子の製作が可能となります。
当社では作業性に重点を置いた吊り下げタイプはしごをご提供させていただいております。
オーダーメイド(特注)により幅や長さを変更できます。
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梯子使用時の注意点
梯子を安全に使用するためには、適切な設置と定期的な点検が不可欠です。
安全な設置場所の条件
- 地面が平坦で安定していること
- 十分な作業スペースが確保できること
- 周囲に危険物や障害物がないこと
これらの条件を満たす場所を慎重に選定することで、作業中の事故リスクを大幅に低減できるのです。
点検・保守の重要性
点検項目 | 点検頻度 | 確認ポイント |
外観検査 | 使用前毎回 | ・破損や変形の有無 ・滑り止めの状態 |
機能検査 | 定期的(月1回程度) | ・固定部分の緩み ・可動部分の動作 |
詳細点検 | 年1回以上 | ・溶接部分の状態 ・腐食の進行状況 |
これらの定期的な点検と適切な保守管理により、梯子の安全性を長期にわたって維持することができます。
異常が発見された場合は、直ちに使用を中止し、修理や交換を行うことが推奨されます。
また、梯子の寿命や使用限度を把握し、計画的な更新を行うことも安全管理の重要な要素なので覚えておきましょう。
マンホールの安全な上り下り手順
マンホール内を上り下りする時は、慎重に、そして正しい手順で行うことが大切です。
タラップの安全な使用方法
タラップを使用する際は、まず使用前の点検が重要となります。
タラップの点検ポイント
- 損傷や腐食の有無
- ぐらつきや固定部分の緩み
- 滑り止めの状態確認
- 周辺部分の安全確認
これらの点検により、昇降時の安全性を確保することができます。
墜落制止用器具の正しい装着
墜落制止用器具は、作業員の命を守る最も重要な安全装備です。
フルハーネス型墜落制止用器具の装着手順
装着順序 | 確認ポイント | 注意事項 |
1. 肩ベルトの装着 | ・ねじれがないこと ・適度な締め付け | ・両肩にかかる荷重が均等になるよう調整 |
2. 腿ベルトの装着 | ・左右の長さが同じ ・適切な位置での固定 | ・歩行の妨げにならない位置に調整 |
3. 胸ベルトの装着 | ・D環が背中の中央にくること ・ベルトの緩みがないこと | ・ずり上がりや横ずれを防止するよう注意 |
これらの手順をしっかり守って、安全な状態で装着を完了させることが大切です。
三点支持の原則と実践方法
マンホールの昇降時には、「三点支持の原則」を必ず守る必要があります。
三点支持の基本ルール
- 両手と片足、または両足と片手で常に体を支える
- 一度に動かす手足は一つだけにする
- 急いで移動せず、確実な足場を確保する
この原則を守ることで、バランスを崩すリスクを最小限に抑えることができるんです。
実践時の注意点
動作 | 具体的な実施方法 | 注意事項 |
降下時 | ・後ろ向きでタラップに向かう ・一段ずつ確実に降りる | ・急な動作を避ける ・足元の確認を怠らない |
上昇時 | ・正面を向いてタラップを昇る ・各段での安定を確認 | ・無理な姿勢を避ける ・手すりをしっかり掴む |
これらの方法を意識して実践することで、安全な昇降が可能となります。
緊急時の対応手順
万が一の事態に備え、緊急時の対応手順を事前に確認しておくことが大切です。
緊急時の基本的な対応手順
- 異常を感じたら即座に作業を中止
- 地上の作業員に状況を報告
- 指示があるまでその場で待機
- 必要に応じて救助要請を実施
これらの手順を全作業員が理解し、緊急時に適切な対応がとれるよう準備しておく必要があるのです。
コミュニケーションの確保
マンホール内作業では、地上の作業員との確実な連絡体制の確保が安全管理の基本となります。
通常時は定期的な声かけや無線での状況報告を行い、作業の進捗状況や作業員の体調変化を随時確認します。
特に、作業内容の変更や異常を感じた場合は、躊躇することなく即座に地上の作業員に報告することが重要です。
また、緊急時に備えて、非常信号の方法や救助要請の手順を作業前に確認し、全作業員で共有しておく必要があるでしょう。
これらの連絡体制を適切に運用することで、異常の早期発見と迅速な対応が可能となり、作業の安全性を高めることができるのです。
必須の安全装備とその使用方法
マンホール作業における安全装備の選択と適切な使用は、作業員の命を守る最も重要な要素です。
ヘルメットの選び方と正しい着用
ヘルメットは、頭部への衝撃から作業員を守る最も基本的な保護具です。
選定にあたっては、JIS規格適合品であることを確認し、サイズ調整機能や通気性などの基本性能を確認しましょう。
着用時は以下の点に特に注意を払う必要があります。
- あごひもの確実な装着
- 適切なサイズ調整
- 定期的な点検と交換
これらの基本事項を守ることで、確実な頭部保護ができるようになります。
フルハーネス型墜落制止用器具の種類と装着方法
墜落制止用器具は、高所からの転落事故を防ぐための重要な安全装備となります。
作業内容に適合した型式を選び、体格に合ったサイズを確保することが大切なんです。
装着時の重要なポイントは以下の通りです。
- 肩ベルトのねじれがないことの確認
- 腿ベルトの左右対称な調整
- 胸ベルトの適切な位置での固定
- D環が背中中央に位置することの確認
正しい装着により、万が一の場合でも確実な制止効果を期待することができますよ。
ガス検知器と酸素濃度計の使用方法
密閉空間での作業には、ガス検知器と酸素濃度計が必須となります。
測定基準値
測定項目 | 管理基準値 |
酸素濃度 | 18%以上 |
硫化水素 | 10ppm未満 |
一酸化炭素 | 50ppm未満 |
測定・対応手順
実施事項 | 内容 |
測定頻度 | 作業開始前と作業中は定期的に実施 |
異常時対応 | ・直ちに作業を中止 ・十分な換気を実施 ・安全が確認できるまで作業場所への立入を禁止 |
これらの測定値は必ず記録し、異常値が検出された場合は定められた手順に従って対応するようにしましょう。
作業用保護具の選定と使用上の注意点
手袋や安全靴などの保護具は、作業中の細かな事故を防ぐ重要な役割を果たします。
保護手袋は耐切創性と耐油性を備えたものを選択し、作業内容に適した素材のものを使用することが大切です。
安全靴については、耐滑性とつま先保護機能を備え、防水性能も考慮したものを選定するようにしましょう。
保護メガネは視界の確保と飛散物からの防護を両立し、曇り防止機能を備えたものがおすすめです。
メンテナンスと管理
安全装備の性能を維持するためには、適切なメンテナンスと管理が不可欠です。
以下の基本事項を日常的に実施するように心がけましょう。
- 使用前の点検の実施
- 定期的な清掃と消毒
- 損傷や劣化の早期発見
- 適切な保管管理の徹底
特に、墜落制止用器具やガス検知器などの重要な安全装備については、製造元が定める点検基準に従い、確実な保守管理を行う必要があります。
日常的な点検と適切な管理により、緊急時でも確実に機能を発揮できる状態を維持することが、安全管理の基本といえます。
まとめ
マンホール内作業の安全確保には、適切な準備と正しい手順の遵守が不可欠です。
本記事で解説した重要ポイントを実践することで、作業中の事故リスクを大幅に低減することができます。
特に以下の3点は、安全作業の基本として必ず守るべき事項ですので、再度確認しておきましょう。
- 作業前の入念な安全確認と環境整備
- 適切な保護具の選択と確実な装着
- 正しい昇降手順の遵守と常時監視体制の確保
これらの基本事項に加えて、作業効率を高める推奨装備を適切に活用することで、より安全で効率的な作業が実現できます。
安全は一朝一夕には確立できません。
日々の地道な取り組みと、定期的な教育・訓練を通じて、作業員一人一人の安全意識を高めていくことが重要です。
本記事が、現場での安全な作業実施の一助となれば幸いです。
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