2025年8月13日
【高層マンション台風対策】エレベーター停止時の階段避難と補助梯子の活用法

高層マンションにお住まいの方、「もしも台風でエレベーターが止まったら…」と、一度は不安に思ったことはありませんか?
「まあ、いざとなったら階段があるから大丈夫だろう」
そう考えている方も多いかもしれませんね。
しかし、思い出してみてください。
東日本大震災の時、首都圏では多くのマンションでエレベーターが長時間停止し、多くの方が「階段難民」となりました。
20階、30階という高層階から、小さな子供を抱え、非常用持ち出し袋を持って降りる…それは私たちが想像する以上に過酷な現実なんです。
この記事では、そんな「もしも」の時に後悔しないために、まずはエレベーターが止まる本当の理由と、階段避難の知られざるリスクを徹底解説します。
その上で、私たち梯子の専門家だからこそお伝えできる、命を守るもう一つの選択肢「補助梯子」という具体的な備えについて、分かりやすく丁寧にお話ししていきます。

なぜ?を知るのが第一歩!台風でエレベーターが止まる理由
いざという時に冷静に行動するためには、まず「なぜエレベーターが止まるのか」を正しく理解しておくことが大切です。
実は、止まる理由は大きく分けて2つあります。
管制運転ってご存知ですか?エレベーターの安全機能
「管制運転」という言葉、あまり聞き慣れないかもしれませんね。
これは、台風の強風による建物の大きな揺れや、地震の初期微動(P波)を感知した際に、エレベーターが自動で最寄り階に停止し、ドアを開ける安全機能のことなんです。
つまり、故障して閉じ込められているのではなく、「利用者の安全を最優先するために、システムが正常に作動して止まっている」というわけです。
これは非常に重要なポイントなので、ぜひ覚えておいてください。
また、最近のマンションでは、台風や集中豪雨による地下の機械室(ピット)への浸水を防ぐため、エレベーターを意図的に上層階へ待機させる「冠水時管制運転」という機能もあります。
まずはこの仕組みを知っておくだけでも、パニックにならずに済みますね。
停電という大きな壁:ライフラインが止まるということ
もう一つの、そしてより深刻な理由が「停電」です。
台風によって送電網がダメージを受けると、マンション全体が停電に見舞われます。
「でも、うちのマンションには非常用電源があるから大丈夫」と思いますよね。
確かに、高さ31mを超える建物には非常用発電機の設置が義務付けられています。
しかし、その電力は主にスプリンクラーや消防隊が使う非常用エレベーターを動かすために使われるもので、住民の皆さんが日常のように使えるわけではないのが現実です。
燃料にも限りがあるため、長時間の稼働は期待できません。
停電はエレベーターだけでなく、水を上層階へ送る給水ポンプも止めてしまうため、トイレが使えなくなったり、飲み水の確保が困難になったりする二次被害にも繋がるのです。
「階段で降りればいい」は本当?高層階からの避難の現実
エレベーターが使えないなら、階段で。
誰もがそう考えますが、その過酷さを具体的に想像したことはありますか?
体力的な負担:20階から降りるのにかかる時間と労力
「20階くらいなら、なんとか歩けるだろう」
そう思っていても、現実は全く違います。
一般的に、健常な成人男性が1階分を降りるのにかかる時間は約15秒と言われています。
単純計算でも20階なら5分ですが、これはあくまで手ぶらで、元気な時の話。
実際には、非常用持ち出し袋で両手がふさがり、小さなお子さんを抱え、高齢の親御さんの手を引いて…となると、その負担は計り知れません。
途中で何度も休憩を挟む必要があり、20階から地上にたどり着くまでに15分〜20分以上かかったという報告も少なくないのです。
私たちが仕事で伺う現場の職人さんでさえ、「あの上下移動だけは勘弁してほしい」と言うほど、階段の昇り降りは体力を消耗する行為なんですよ。
心理的な不安:暗闇と閉鎖空間でのパニック
体力的な問題だけではありません。
停電時の非常階段は、非常灯が点いていたとしても薄暗く、閉鎖的な空間は強い不安感を煽ります。
そこに大勢の人が一斉に避難を始めるとどうなるでしょうか。
焦りから足を踏み外して転倒したり、将棋倒しになったりする二次災害のリスクが格段に高まります。
もし火災が伴い、煙が流れ込んできたら…その恐怖は計り知れません。
普段、当たり前に使っている階段が、非常時には全く違う顔を見せる。
このことを、私たちは肝に銘じておく必要があります。
専門家が教える!もう一つの選択肢「補助梯子」という備え
階段避難のリスクを知った上で、私たちが提案したいのが「補助梯子」という、もう一つの備えです。
これは、皆さんの安全を確保するための、非常に有効な選択肢となり得ます。
補助梯子ってどんなもの?ベランダの避難ハッチとの違い
「避難するためのはしごなら、うちのベランダにもあるよ」
そう思われた方もいるでしょう。
多くの方が想像するのは、ベランダの床に埋め込まれた「避難ハッチ(吊り下げはしご)」ですよね。
私たちが専門に作っている「補助梯子」は、それとは少し違う「可搬式(かはんしき)」と呼ばれるものです。
その違いを、下の表で見てみましょう。
項目 | 避難ハッチ(吊り下げはしご) | 補助梯子(可搬式はしご) |
---|---|---|
設置場所 | ベランダの床(固定) | 普段は室内に収納 |
使い方 | 床のフタを開けて真下に降りる | ベランダの手すり等に掛けて使う |
避難方向 | 真下の階へ | 下の階や地上へ(斜めに降りる) |
主な役割 | 消防法で定められた「共用」の避難設備 | 各家庭で備える「自助」のための道具 |
つまり、補助梯子とは、火災などで玄関から出られず、かつ自室に避難ハッチがない、といった絶体絶命の状況で、自分自身で避難経路を確保するための命綱なんです。
補助梯子が活躍する具体的なシーン
例えば、こんな状況を想像してみてください。
「自室から火が出て、玄関が炎と煙で塞がれてしまった。唯一の出口はベランダだけ。しかし、共用の避難ハッチは隣の部屋のベランダにある…」
こんな八方塞がりの状況でも、もし補助梯子を備えていれば、自室のベランダから下の階のベランダへ、あるいは2階や3階であれば直接地上へ、安全に避難することができます。
あくまで「最終手段」ではありますが、この選択肢があるかないかで、生存率は大きく変わってくるのです。
選び方のポイント:ここだけは押さえて!
いざという時に確実に使える補助梯子を選ぶには、いくつか重要なポイントがあります。
1. 【最重要】長さを確認する
設置したい場所(例:3階のベランダ)から、避難したい場所(例:2階のベランダや地上)までの高さに合った長さを選びましょう。
2. 軽さと扱いやすさ
緊急時に誰でも扱えるよう、アルミ製などの軽量なモデルがおすすめです。女性や高齢の方でも持ち運べる重さか確認しましょう。
3. コンパクトな収納性
普段はクローゼットや物置にしまっておくものです。邪魔にならず、コンパクトに収納できるかも大切なポイントです。
4. 確かな安全性
国の定める安全基準(JIS規格など)を満たしているか、信頼できるメーカーの製品かを確認しましょう。命を預ける道具ですから、ここは妥協できません。
私たち特殊梯子製作所は、実は鉄道車両用の非常脱出はしごで国内シェア95%以上をいただいており、警察や防衛省といった、安全に最も厳しい現場で使われる製品も開発しています。
そのプロの現場で培った技術と考え方を、そのままご家庭用に応用したのが、緊急避難用はしご「QQラダー」です。
アルミ合金製で軽く、女性でも扱いやすいのはもちろん、使わない時は1/4の長さにまでコンパクトに収納できます。
「いざという時に、本当に使えること」を何よりも大切にした、私たちの自信作です。
よくある質問(FAQ)
Q: 補助梯子は女性や高齢者でも使えますか?
A: はい、もちろんです。最近の製品はアルミ製などで非常に軽量化されており、例えば5mタイプのものでも5kg前後と、お米の袋くらいの重さのものが主流です。女性一人でも十分に扱えるように設計されています。
ただし、最も大切なのは「使い方を知っていること」です。購入したら、必ず一度は実際に手すりに掛けてみるなど、設置の練習をしておくことを強くお勧めします。
Q: どんなマンションでも設置できますか?
A: 基本的に、ベランダの手すりや窓枠など、体重を支えられるだけの強度があるしっかりとした場所があれば設置可能です。ただし、手すりの形状(デザイン性が高すぎるものなど)や、外壁との距離によっては設置できない場合もあります。購入前にメーカーや販売店のウェブサイトで設置条件を確認したり、問い合わせたりするのが確実です。
Q: 補助梯子があれば、避難ハッチは不要ですか?
A: いいえ、それは全く違います。補助梯子はあくまで、各家庭で備える「自助」のためのバックアップです。消防法で定められた避難ハッチなどの共用設備は、マンション全体の安全を守るために不可欠であり、定期的な点検も義務付けられています。補助梯子は、それらの設備が使えない最悪の事態を想定した、「プラスアルファ」の備えと考えてください。
Q: 階段で避難する人と、梯子で避難する人が混在して危なくないですか?
A: 非常に良いご質問ですね。だからこそ、平常時からの「共助」、つまりマンション内でのコミュニケーションとルール作りが重要になります。例えば、「避難に時間がかかる高齢者や子供のいる家庭は、補助梯子の活用を検討する」「階段は基本的に歩行可能な人が優先的に使う」など、住民同士で話し合っておくだけでも、いざという時の混乱を大きく減らすことができます。
Q: 補助梯子の価格はどのくらいですか?
A: 長さや材質によって様々ですが、一般家庭用のものであれば、数万円から購入可能です。確かに安い買い物ではないかもしれません。しかし、これは家族の命を守るための「保険」だと、私たちは考えています。一度、専門店のウェブサイトなどで情報を集めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、高層マンションの台風対策として、エレベーター停止時の課題と、その具体的な備えについて、専門家の視点から深掘りしてお話ししました。
最後にもう一度、大切なポイントを振り返ります。
- エレベーターは「安全のため」に止まる。停電時は非常用電源も万能ではないと知る。
- 階段避難は体力的にも精神的にも過酷。「階段があるから大丈夫」という思い込みは危険。
- 避難ハッチが使えない状況に備え、「補助梯子」という「自助」の選択肢を持つことが命を守る。
私たち特殊梯子製作所のような専門メーカーは、皆さんの安全な暮らしを縁の下で支えるため、日々技術を磨き、より安全で使いやすい製品を開発しています。
この記事を読んだ今日が、あなたの家族の安全計画を見直す「防災元年」です。
まずはご家族で、「もしもエレベーターが止まったらどうするか?」を話し合ってみる。そして、管理組合の会合で、補助梯子を含めた新しい防災対策を議題として提案してみる。
そんな「次のステップ」に進んでいただけると、これほど嬉しいことはありません。
備えあれば憂いなし。皆で賢く備えて、安心なマンションライフを送りましょう。
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